交通事故で一番多い症状「むちうち」徹底解説
最終更新日 2025年1月6日
交通事故で最も多いとされるむちうちについて、原因、症状、治療、後遺症、慰謝料請求までを詳しく解説します。
目次
交通事故によるむちうちとは
交通事故の衝撃により、首周辺の靭帯、筋肉などの軟部組織が損傷することを「むちうち」と呼びます。正式名称は「外傷性頚部症候群」、診断名は「頚部捻挫」や「頸椎捻挫」です。医師が発行する診断書には「むちうち」とは記載されないため、医師の説明をよく確認しましょう。
むちうちの原因:追突方向別の影響
むちうちは、追突方向(正面、横、後方)によって症状が異なります。
人間の首の可動域は前後約60°ですが、交通事故の衝撃はこの範囲を超え、靭帯などを損傷させます。
- 正面からの追突:首が前後に大きく振られます。
- 後方からの追突:首が後ろに伸びた後、前方に振られます(全体の90%を占めるといわれています)。
- 側方からの追突:首が肩に当たるまで曲がり、複雑な損傷や重度の場合、脊髄神経の引き抜き損傷を引き起こすことがあります。
むちうちの主な症状
むちうちは首や肩の痛みだけでなく、腕のしびれ、頭痛、のぼせ、吐き気、倦怠感などを引き起こし、慢性化することもあります。
むちうちの治療:急性期からの適切なアプローチが重要
むちうちの治療は、急性期、亜急性期、慢性期で異なりますが、急性期の適切な治療が最も重要です。受傷後2~3週間の適切な施術で約7割の症状が緩和されるという見解もあります。早期の受診を強く推奨します。
早期に治療や施術を開始した場合、軽いむちうちであれば、3ヶ月~半年で症状が治まると言われていますが、適切な治療や施術を受けなかった場合、3カ月から半年程度の治療が必要となるケースや、後遺障害が残るケースもあります。
むちうち治療で重要なこと:専門医・整骨院選び
むちうち治療においては、病院(整形外科)や整骨院が交通事故によるむちうちの施術を得意としているかどうかが重要です。整骨院と整形外科の併用も、医師の許可があれば可能です。
むちうちの根本治療には、投薬だけでなく、手技による関節や筋肉へのアプローチが重要です。交通事故による筋肉や腱の萎縮や拘縮は深部に及ぶことが多いため、むちうち施術を得意とする医療機関を選びましょう。
交通事故による症状は個人差が大きいため、一人ひとりに合ったきめ細かいケアが重要です。
交通事故後の受診:早期受診の重要性
交通事故後、受診までに時間が空くと、交通事故と怪我の因果関係が否定され、保険会社からの治療費支払いが受けられなくなる可能性があります。事故当日、または遅くとも3日以内に整形外科を受診し、診断書を発行してもらいましょう。
診断書に記載のない部位の怪我は、交通事故との因果関係を否定される可能性があります。受診時には、痛みのある部位と程度を正確に伝えましょう。
整骨院での施術は整形外科との併用が基本です。整形外科医の診察を受けていない場合、治療費の支払いを保険会社が認めないことがあります。整形外科医に整骨院との併用を口頭で許可を得ておくと安心です。
むちうちの症状と治療:より詳しく
むちうちは交通事故でよくある症状で、特に後方からの追突で首がむちのようにしなることで起こる頸部外傷の総称です。
むちうちの分類と症状
むちうちには主に以下の4つの分類があります。
- 頚部捻挫型:首の筋肉や靭帯の損傷。首のだるさ、頭痛、肩こり、首周辺の痛みなどが起こります。
- バレー・ルー症候群型:倦怠感、めまい、吐き気、耳鳴り、眼精疲労などが特徴で、交感神経の異常が原因と考えられています。
- 神経根損傷型:首だけでなく、肩、背中、腕、肘、後頭部などにも痛みが出現し、日ごとに痛みが強くなることがあります。
- 脊髄症状型:脊髄の損傷。頭痛、足のしびれ、めまいなどの症状が現れます。
むちうちの症状が現れる時期
むちうちは事故直後に症状が出にくい傾向があります。事故による興奮状態とアドレナリンの分泌により、痛みを感じにくいためです。
むちうちでも病院に行くべき理由
事故直後に症状がなくても、後日症状が現れる可能性があります。事故から時間が経つと、交通事故との因果関係が認められず、損害賠償や治療費の請求ができなくなる可能性があるため、事故後1週間以内に病院で検査を受けましょう。
医療機関を受診しないことのリスク
事故直後に自覚症状がないからといって放置すると、後日痛みなどの症状が出た場合に、治療費などを自費で負担することになったり、慰謝料がもらえなくなる可能性があります。後遺症が残る場合もあります。
むちうちの治療・施術:病院(整形外科)と整骨院の違い
むちうちの治療・施術は病院(整形外科)と整骨院で行われます。
病院(整形外科)での治療
病院でのむちうち治療は以下の通りです。
- 薬物療法:消炎鎮痛剤の処方。
- 牽引療法:首を引っ張る治療。
- リハビリ:運動療法など。
- レントゲンなどの検査・診断。
整骨院での施術
整骨院でのむちうち施術は以下のとおりです。
- マッサージ:手技療法。
- 理学療法:疼痛コントロール、ストレッチなど。
- 電療法:電気刺激による治療。
整骨院は待ち時間が短く、夜遅くまで営業しているため、病院と併用する方が多いです。
むちうちの治療にかかる費用:加害者への請求
交通事故の被害者は、加害者に対し以下の費用を請求できます。
- 治療費
- 通院交通費
- 休業損害
- 入通院慰謝料
- 後遺障害慰謝料
- 逸失利益
むちうちで後遺障害が認定されるのは難しいですが、症状によっては認定される場合もあります。
むちうちで後遺障害は可能か?
むちうちは軽度の外傷に分類されることが多いですが、後遺障害認定されるケースもあります。弁護士に相談することで、慰謝料が増額される可能性もあります。
むちうちの後遺障害と障害等級
むちうちの後遺障害には、首や頭部のしびれ、耳鳴り、吐き気、めまい、自律神経症状などがあります。後遺障害は事故後数週間後や翌日などに現れることが多いです。
むちうちによる頚部痛などで後遺障害認定される可能性は僅かですがあります。
むちうちで高額な慰謝料を受け取るのは難しい?
むちうちは回復する確率が高いため、深刻な後遺障害が残るとは考えづらく、後遺障害として認定を受けづらい傾向があります。ただし、例外もあります。
むちうちの後遺障害等級は、7級(500万円前後)、12級(100万円前後)、14級(40万円前後)があります。等級が高いほど慰謝料も高くなります。
むちうちの場合、後遺障害12級程度になることが多いですが、稀に7級として認定されるケースもあります。
後遺障害12級と14級では、慰謝料に大きな差があります(弁護士基準で250万円以上の差が出ることも)。
むちうちの証拠:MRIなどの検査
むちうちで慰謝料を受け取るには、交通事故との因果関係を証明する証拠が必要です。MRIなどの画像検査は重要な証拠となります。MRIで脊髄や神経の圧迫が確認できれば、後遺障害認定されやすくなります。
MRI以外にも、ジャクソンテスト、スパークリングテスト、腱反射テストなどでむちうちを確認できる場合があります。
交通事故との因果関係
むちうちが発見されても、交通事故との因果関係が証明されない場合、治療費や慰謝料を受け取るのは難しいです。
後遺障害認定のために:整形外科医選びの重要性
むちうちの治療や慰謝料を受け取れるかどうかは、整形外科医の判断が重要です。交通事故に関する診断書作成経験のある医師を選びましょう。セカンドオピニオンも検討しましょう。弁護士も同様に、交通事故に強い弁護士を選びましょう。
むちうちで後遺障害を獲得するためのおさらい
むちうちは軽度の症状に分類されますが、重い場合は後遺障害認定されることもあります。適切な病院(整形外科)と弁護士を選ぶことが、納得のいく補償を受けるために重要です。
この情報が、交通事故によるむちうちでお悩みの方々のお役に立てれば幸いです。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、法的助言を提供するものではありません。具体的な法的問題については、弁護士にご相談ください。
むちうちでは後遺障害の認定はなかなか難しいですが、症状は患者様により違いますので後遺障害が認定される場合もあります。
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