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    交通事故の自賠責保険の補償内訳

    2012.05.22

    最終更新日 2025年12月5日

    交通事故の被害者へは主に自賠責保険と任意保険から治療費などの補償が支払われます。

    今回は自賠責保険で支払われる補償の内容と内訳について解説いたします。交通事故に遭われた際、適切な補償を受け、治療に専念するためには、保険制度に関する正確な知識を持つことが非常に重要です。特に、交通事故の補償で失敗しないためのポイントを事前に把握しておくことで、予期せぬトラブルを避けることができます。

    自賠責保険とは:交通事故被害者のための最低限の補償

    自賠責保険は、自動車を所有するすべての人に加入が義務付けられている強制保険です。この保険の主な目的は、交通事故による被害者を救済し、最低限の補償を確保することにあります。人身事故に限定され、物損事故には適用されません。

    交通事故で傷害を被った際に、自賠責保険から支払われる金額は、傷害に関する損害で120万円が上限です。これは、治療費、休業損害、慰謝料などを合算した金額となります。
    勿論、それ以下ならば実際の損害額しか請求は出来ません。

    一般的に交通事故の被害に遭った場合、自賠責保険を含めて相手方の任意保険会社が対応窓口となって、補償してくれることになります。

    120万円の自賠責保険限度額を越えたとしても、残りの賠償費用は加害者側の任意保険会社が支払いをします。
    しかし、加害者側任意保険会社が丁寧に説明してくれることは少なく、分からないまま補償を受けている方も多いのが実情です。慰謝料や治療費が支払われるまでの流れを理解し、主体的に情報収集を行うことが大切です。

    交通事故の加害者が任意保険に加入していない場合

    加害者が任意保険に加入していない場合や、ひき逃げなどで加害者が不明な場合などは、被害者自身が直接自賠責保険に請求しなければならないことがあります。これを「被害者請求」と呼びます。

    基本的な自賠責保険の内容を知っておくことが大切です。被害者請求は複雑な手続きを伴うことが多いため、不安な場合は専門家(弁護士など)に相談することをお勧めします。

    自賠責保険の補償の内訳について

    自賠責保険の補償内訳は以下の通りです。

    • 治療関係費
    • 慰謝料
    • 休業補償
    • その他損害

    このような補償が受けられます。それぞれの項目について詳しく見ていきましょう。

    自賠責保険で支払われる治療関係費

    病院や整骨院で実際にかかった治療費用を、妥当な範囲内で医療機関から各保険会社に請求をかけます。自賠責保険は対人賠償を目的としているため、人身に関わる治療費が対象となりますが、では物損事故の場合の治療費・慰謝料についてといった疑問については、個別の状況に応じた確認が必要です。

    鍼灸や温泉療養に掛かった費用も支払いは可能ですが、医師が必要性を認め、実際に医師からの指示があるものに対してのみ適用されます。必ず事前に医師の承諾を得ておくようにしましょう。

    その他、治療関係費として、通院に掛かったバス代、電車代などの通院交通費も支払われますので、掛かった交通費は、しっかりとメモをしておいて下さい。領収書は全て保管し、自家用車で通院した場合は、ガソリン代も請求できるため、走行距離を記録しておきましょう。

    受傷の部位や程度によって歩行困難な場合は、タクシー代も認められることがあります。この場合も、領収書を必ず保管し、必要性を具体的に説明できるようにしておきましょう。

    自賠責保険で支払われる慰謝料

    慰謝料は傷害により肉体的、精神的に苦痛をうけた被害を金銭に換算したものであり、通院1日につき4,300円(※2020年3月31日以前の事故は4,200円)が慰謝料として支払われます。これは、治療期間または実通院日数の2倍の少ない方を採用して計算されますが、月額12万6千円が上限に設定されてもいます。より詳しい自賠責保険での慰謝料計算方法を詳しく見るも確認しておくとよいでしょう。慰謝料は、被害者の精神的苦痛を補償する重要な要素です。

    自賠責保険で支払われる休業損害

    休業損害(休業補償)は、事故に遭って仕事や家事を休業し、その間に収入を得られない損害を補うものであり、原則として1日につき6,100円(※2020年3月31日以前の事故は5,700円)が支払われます。

    事故前の実際の収入が原則額より高い給与所得者や事業所得者は、1万9,000円を上限に、実収入に基づく金額が支払われます。この場合、勤務先の担当者に休業損害証明書を記載してもらう必要があります。

    ここで注目したいのが主婦でも原則額の5,700円(※2020年3月31日以前の事故)貰えるという事を知らない方が余りにも多いので、是非とも知識として知っておいて欲しいなと思います。

    無職の方は勿論、休業補償は貰えません。学生や年金生活者も原則として貰えません。

    しかし、学生が事故のケガなどによって留年して二重に学費を負担しなければならない場合はその学費は損害に含まれます。個別の事情に応じて、認められる損害の範囲は異なるため、不明な場合は弁護士に相談することが賢明です。

    主婦の休業補償について

    主婦は、家事労働が社会的に価値のある労働と認められていますので、きちんと休業補償が貰えます。
    意外と知られていないことですので、保険会社には申請の手続きをして下さい。家事労働による休業損害は、専業主婦だけでなく、兼業主婦の方も請求が可能です。家事労働の重要性が認められているため、正しく申請することで、生活を支える上で必要な補償を受けることができます。

    主婦の休業損害についてこちらで詳しく説明しています

    人体をサポートする器具も自賠責保険の補償対象

    自賠責保険の補償の対象は被害者自身だけとは限りません。人間の機能を補助する器官を損なった場合などは、物であっても自賠責保険から支払われます。

    例えば、治療のために必要な松葉杖や、事故によって破損した眼鏡、義手、義足などの身体をサポートする器具が破損した場合などは、物であっても自賠責保険から支払われます。これらの費用も治療関係費の一部として請求が可能です。ただし、あくまで「治療のため」あるいは「身体機能の補助のため」という必要性が認められる場合に限られます。

    保険会社から治療費を打ち切られた場合の対処法

    交通事故の治療が一定期間続くと、保険会社から治療費の打ち切りを打診されることがあります。これは、保険会社が「これ以上治療を続けても症状の改善は見込めない」と判断した場合に起こりますが、まだ治療が必要な場合でも打診されることがあります。このような状況に直面した際は、焦らず適切に対処することが重要です。保険会社から治療費を打ち切られた場合の対処法について詳しくはこちらの記事をご参照ください。

    治療の継続が必要だと感じる場合は、医師と相談し、診断書や意見書などで治療の必要性を明確にしてもらうことが大切です。また、弁護士に相談することで、保険会社との交渉を有利に進められる可能性があります。

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