交通事故での主婦の休業損害
最終更新日 2025年6月11日
こんにちは。患者様対応担当の加藤です。
当サイトには、交通事故に遭われた患者様より、治療や補償に関する様々なご相談が日々寄せられています。今回は、特にご質問の多い「主婦の休業損害」について、実際の相談事例を交えながら詳しく解説したいと思います。ぜひ、皆さんの参考になれば幸いです。
主婦の休業損害とは?定義と補償の仕組み
休業損害とは、交通事故による怪我の影響で、本来得られるはずだった収入が減少したり、仕事ができない状態になったりした場合に支払われる補償のことです。これは、交通事故の被害者が被る経済的損失を補填するための重要な項目です。
お勤めをされている会社員の方であれば、勤務先から「休業損害証明書」を発行してもらい、実際に仕事を休んだ日数に基づいて、直近3ヶ月の平均給与所得を元に日割り計算された金額が支払われることになります。自賠責保険における日額の上限は19,000円ですが、基本的な補償額は1日あたり6,100円(2020年4月1日以降の事故に適用。それ以前の事故では5,700円)と定められています。これを超える損害がある場合は、任意保険会社との交渉や裁判によって別途請求することが可能です。
では、主婦(主夫)の方の場合はどうなるのでしょうか?主婦業は賃金が発生する仕事ではありませんが、家事や育児といった重要な労働とみなされます。そのため、交通事故の怪我によって家事ができなくなった、あるいは著しく困難になった場合に、その分の経済的損失として休業損害が認められます。
主婦(主夫)の休業損害の計算は、原則として賃金センサスの平均賃金を参考に算出されますが、自賠責保険では、家族構成などを確認できれば主婦業として、日額6,100円(2020年4月1日以降の事故に適用)が実通院日数や症状の程度に応じて支払われることになっています。(自賠責保険での補償額)
「無職」と回答してしまった主婦のケースから学ぶこと
先日、当サイトへお問い合わせを頂いた患者様の中に、まさにこの主婦の休業損害について知らず、保険会社からの質問に「無職」と回答してしまっていた方がいらっしゃいました。そのため、本来受け取れるはずの休業損害を受け取ることができない状況にありました。
この患者様は、交通事故の怪我で首や頭の痛みだけでなく、手足にしびれがあり、家事に支障をきたしている状況でした。家事や育児が困難になり、精神的にも辛い思いをされていたにもかかわらず、その損失が金銭的に評価されないという状況は、非常に不公平であると感じました。
そこで、私たちは患者様に、主婦業も立派な労働であり、休業損害の対象になることを丁寧に説明し、保険会社に対して「主婦である」ことを正式に連絡するようアドバイスさせて頂きました。その結果、無事に休業損害を受け取ることができる状況になり、患者様も大変安心されていました。
この事例からもわかるように、交通事故の知識がないために、本来受け取れるはずの補償を逃してしまうケースは少なくありません。特に主婦業の休業損害は、その性質上、見落とされがちなので注意が必要です。
主婦の休業損害にまつわる議論と私たちの見解
実はこの主婦の休業損害については、一部で賛否両論があるのも事実です。「それほど重度な症状ではなく、ほぼいつも通りに家事をすることができている状況でも、通院治療を続けている間、自賠責保険の限度額の範囲においては受け取ることができてしまうから」といった意見が聞かれることもあります。
もちろん、全く問題なく家事ができる状態であれば、休業損害が容認されるべきではないという意見も理解できます。しかし、実際に交通事故で怪我をされ、通院治療を続けているということは、少なからず日常生活、特に家事労働に影響が出ているはずです。痛みを抱えながらの家事、家事時間の減少、育児の困難さなど、数値では測りにくい負担は確実に存在します。このような状況であれば、その労働能力の喪失に対する補償は、当然認められるべきであると私たちは考えます。
この議論の背景には、お勤めしている方が「少々の怪我であれば仕事を休むことができない(休めば減給になる)」という状況にあるため、主婦の方が「有利である」と誤解されていることが影響しているとも思います。しかし、休業損害はあくまで「失われた利益」に対する補償であり、主婦業の価値を正しく評価しようとするものです。
交通事故の被害者が適正な補償を受けることができているのか、できていないのか、また適正であるのか、適正でないのか、という部分は、個々の状況によって判断が分かれる非常に難しい問題です。特に、精神的な苦痛や家事労働の評価など、数値化しにくい損害の判断は専門的な知識が求められます。交通事故の慰謝料計算の基本(通院日数との関係)についても、ぜひご一読いただき、ご自身の状況を理解する一助としてください。
交通事故の補償でお困りなら「事故したら.com」へ
私たちは、たくさんの交通事故被害者の方々よりご相談の問い合わせを頂いている中で、ほとんどの方が交通事故の補償について全く知らない状況にあることを、日々痛感しています。そして、そういった方々ができる限りのサポートを受け、納得のいく補償を受け取っていただきたいという強い想いで活動をしています。
ちょっとした疑問でも構いません。保険会社との交渉で困っている、ご自身の症状がどの程度の損害に当たるのか知りたい、そもそも何から始めたら良いのか分からないなど、交通事故に関するあらゆる不安や疑問があれば、お気軽に「事故したら.com」へご相談ください。専門知識を持つスタッフが、あなたの状況に合わせた最適なアドバイスを無料で提供し、納得の解決へと導きます。
最後までお読み頂きありがとうございます。