交通事故治療:病院から整骨院への転院・併用について徹底解説

最終更新日 2025年1月17日
交通事故に遭われた後、多くの方が整形外科などの病院に通院されます。しかし、「病院の治療だけでは不安」「もっと頻繁に施術を受けたい」と感じる方も少なくありません。
そこでよくあるご相談が、「病院から整骨院への転院はできるのか?」「病院と整骨院を併用することは可能なのか?」というものです。
この記事では、これらの疑問について詳しく解説します。
目次
病院から整骨院への転院・併用は可能?
結論から言うと、交通事故治療において、病院から整骨院への転院、または病院と整骨院の併用はどちらも可能です。
大切なのは、ご自身の症状や状況に合わせて最適な治療方法を選択することです。
病院での交通事故治療に不満を感じるケース
病院での治療に以下のような不満を感じる方もいらっしゃいます。
- 湿布や痛み止めなどの処方のみで、なかなか症状が改善しない
- 診療時間が短く、十分に時間をかけて診てもらえない
- 仕事や家事などで平日の通院が難しい
- リハビリテーションの機会が少ない
- 医師とのコミュニケーションが不足していると感じる
整骨院への通院は転院だけではない:併用という選択肢
上記のような理由で整骨院での治療を検討する場合、必ずしも病院から転院する必要はありません。
病院での治療と並行して、整骨院に通院することも可能です。むしろ、併用することで治療効果を高めることが期待できます。
交通事故治療における病院の役割
交通事故治療において、病院(特に整形外科)は非常に重要な役割を果たします。
病院での診断の重要性
症状の診断は医師のみが行える行為です。レントゲン、MRI、CTなどの画像検査や、医師による診察を通して、客観的な診断が下されます。
この診断は、診断書として発行され、保険会社への請求や後遺障害認定の手続きにおいて非常に重要な役割を果たします。
特に、後遺障害の認定を受けるためには、医師の診断書が必須となります。
病院に通院するメリット
- 医師による正確な診断
- 客観的な検査(レントゲン、MRIなど)
- 診断書・後遺障害診断書の発行
- 薬の処方(痛み止め、湿布薬など)
- 必要に応じた手術や高度な医療処置
整骨院での交通事故治療
整骨院では、柔道整復師という国家資格を持つ施術者が、手技療法を中心とし、電療法などを使い施術を行います。筋肉や関節の調整、身体の歪みを整えることで、痛みの緩和や機能回復を目指します。
整骨院に通院するメリット
- 手技による丁寧な施術(マッサージ、整体、骨盤矯正など)
- 痛みの緩和に特化した施術
- 比較的遅い時間まで営業しているため、仕事帰りなどにも通いやすい
- 病院と併用することで、より効果的な治療が期待できる
- 精神的なケアや相談にも対応してくれる場合がある
整骨院で施術を受ける際の注意点
整骨院での施術は、病院での診断に基づいて行うことが望ましいです。以下の点に注意しましょう。
整骨院通院時の注意点
- 必ず病院にも通院し、医師の診断を受けること:整骨院では診断書の発行ができないため、医師の診断が重要です。診断書は保険請求や後遺障害認定の手続きに必要となります。
- 整骨院に通院する前に、保険会社に連絡し、整骨院への通院が可能か確認すること:保険会社によっては、整骨院への通院を認めない場合や、慰謝料の支払いを渋る場合があるため、事前に確認することでトラブルを避けることができます。
- 医師の同意を得てから整骨院に通院することで、保険会社とのトラブルを避けることができる:医師から整骨院への通院を勧められたり、同意を得ている場合は、保険会社への説明がスムーズになります。
- 整骨院での施術内容や頻度を医師に報告し、連携を取ることが望ましい:医師と整骨院が連携することで、より適切な治療を受けることができます。
- 領収書を必ず保管しておくこと:治療費の請求に必要なため、整骨院で発行された領収書は大切に保管しておきましょう。
交通事故治療と保険について
交通事故被害者の治療は、自賠責保険や任意保険が適用されるケースが大半です。治療費や慰謝料の請求には、適切な手続きが必要です。
自賠責保険とは
自賠責保険は、すべての自動車に加入が義務付けられている保険で、交通事故の被害者救済を目的としています。治療費、慰謝料、休業損害などが補償されます。ただし、補償額には上限があります。
任意保険とは
任意保険は、自賠責保険でカバーしきれない部分を補償する保険です。対人賠償、対物賠償、車両保険など、様々な種類があります。自賠責保険の上限を超える損害賠償請求を行う場合などに必要となります。
保険請求の流れ
- 警察への届け出:交通事故が発生したら、必ず警察に届け出てください。
- 病院での受診:速やかに病院を受診し、診断書を作成してもらいます。
- 保険会社への連絡:加害者側の保険会社に事故の状況を連絡します。
- 治療開始:医師の診断に基づき、治療を開始します。整骨院に通院する場合は、保険会社に連絡し、同意を得てから通院を開始しましょう。
- 治療費の請求:治療費は、保険会社から医療機関や整骨院に直接支払われる場合(一括対応)と、被害者側が一旦立て替えて後日保険会社に請求する場合とがあります。
後遺障害が残ってしまった場合
適切な治療を受けても症状が改善せず、後遺障害が残ってしまった場合は、後遺障害等級認定の申請を検討しましょう。
後遺障害等級認定を受けることで、後遺障害慰謝料や逸失利益などの補償を受けることができます。
後遺障害等級認定とは
後遺障害等級認定とは、交通事故によって負った障害の程度を等級で認定する制度です。
等級は1級から14級まであり、数字が小さいほど重い障害となります。認定された等級に応じて、後遺障害慰謝料や逸失利益などが支払われます。
後遺障害等級認定の手続き
後遺障害等級認定の手続きは複雑なため、弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士は、必要な書類の準備や申請手続きの代行、保険会社との交渉など、様々なサポートを提供してくれます。
弁護士に相談するメリット
交通事故の被害に遭われた場合は、弁護士に相談することで、以下のようなメリットがあります。
- 適切な慰謝料の請求:弁護士基準(裁判基準)で慰謝料を請求することで、保険会社から提示された金額よりも高額な慰謝料を受け取れる可能性があります。
- 保険会社との交渉代行:保険会社との煩雑な交渉を弁護士に任せることで、精神的な負担を軽減できます。
- 後遺障害等級認定の手続きサポート:複雑な後遺障害等級認定の手続きを弁護士がサポートすることで、適切な等級認定を受けられる可能性が高まります。
- 法的アドバイスの提供:交通事故に関する様々な法的アドバイスを受けることができます。
- 示談交渉のサポート:示談交渉を有利に進めるためのサポートを受けることができます。
注意:本記事は一般的な情報を提供するものであり、個々の状況には異なる要素が含まれる場合があります。具体的な対応については、医師、弁護士、保険会社などの専門家にご相談ください。