交通事故治療の整骨院利用件数の最新版

最終更新日 2025年6月11日
「交通事故に遭ってしまったけれど、整骨院に通いたい」「でも、保険会社や病院に拒否されてしまったらどうしよう…」
事故したらドットコムには、このようなお悩みを抱えた多くの交通事故被害者の方々から、「整骨院へ通院したい」というお問い合わせが日々寄せられています。中には、保険会社から「整骨院の治療費は支払われません」と言われた方や、病院の医師にも整骨院との併用治療を拒否されてしまったという方もいらっしゃいます。
交通事故の被害に遭われただけでも精神的・肉体的に大きな負担がある上に、慣れない手続きや治療のために仕事を休むこと、通院時間を確保することは、多くの方にとって非常に大変なことです。そんな状況で、患者様が希望する整骨院での治療を保険会社や病院の医師に拒否されてしまうことは、適切な治療を受ける権利を妨害されていることに他なりません。
適切な治療が受けられず、辛い痛みに悩まされながら生活することは、計り知れないストレスとなります。また、十分な治療が受けられなかったことで、痛みに悩まされる期間が長く続いてしまうことも少なくありません。では実際、交通事故で整骨院へ通院することは本当にできないのでしょうか?
実は、統計データを見れば、多くの交通事故被害者が整骨院での施術を受けていることが明らかです。
目次
自賠責保険における柔道整復(整骨院施術)の請求件数推移
損害保険料率算出機構がリリースしている「自動車保険の概況」にある「自賠責保険の柔道整復における現況」(※柔道整復とは整骨院の施術を表しています)の報告によれば、自賠責保険に請求のあった件数は以下の通り、毎年増加傾向にあります。
年度 | 請求件数 |
---|---|
2022年度 | 27万6679件 |
2021年度 | 27万1222件 |
2020年度 | 26万2775件 |
2019年度 | 27万4082件 |
2018年度 | 27万1078件 |
2017年度 | 26万8775件 |
※このデータは、柔道整復師の施術が自賠責保険で認められ、多くの患者様に利用されていることを示しています。2016年度以降のデータは、損害保険料率算出機構「自動車保険の概況」より参照。
交通事故の発生状況と負傷者数
警察庁交通局がリリースしている「交通事故の発生状況」の集計データによれば、発生件数と負傷者数は以下の通りです。
年度 | 発生件数 | 負傷者数 |
---|---|---|
令和5年(2023年) | 30万7930件 | 36万5595人 |
令和4年(2022年) | 30万8792件 | 36万9477人 |
令和3年(2021年) | 30万5425件 | 36万1740人 |
令和2年(2020年) | 30万9000件 | 38万3494人 |
※警察庁のデータは人身事故として処理された件数であり、物損事故として処理された中に含まれる負傷者はさらに多く存在すると考えられます。2020年以降のデータは、警察庁交通局「交通事故統計」より参照。
なぜこれほど多くの交通事故被害者が整骨院を選ぶのか?
これらの統計データが示すように、交通事故負傷者の多くが整骨院に通院していることは紛れもない事実です。それだけ多くの交通事故で負傷された方が、整骨院へ通院できているという事実があるにもかかわらず、自分が整骨院へ通院できないという状況は、当然のことながら納得できるものではないでしょう。
では、なぜこれほどまでに多くの交通事故被害者が整骨院を治療先に選ぶのでしょうか?それは、整骨院が提供する治療が、交通事故による特有の症状、特にむちうちなどの軟部組織の損傷に対して、病院の治療とは異なるアプローチで高い効果を発揮するからです。整骨院の柔道整復師は、手技療法を中心に、患者様一人ひとりの症状に合わせたきめ細やかな施術を行い、痛みの軽減だけでなく、根本的な身体の回復をサポートします。
なぜ整骨院が交通事故治療に選ばれるのか?その理由を解説した記事もぜひご覧ください。
保険会社や医師に拒否された場合の対処法
もちろん、ただやみくもに「整骨院へ通院したい」と訴えているだけでは、状況を好転させることは難しい部分もあります。交通事故で整骨院へ通院して施術を受けることの前提として、病院の医師による診断が必要であることや、事故態様と負傷部位に因果関係が認められるのかなど、適切に対処すべきことがあります。これらのポイントを押さえることで、保険会社や医師への説明もスムーズになり、理解を得やすくなります。
1. 医師の診断と同意を得る
整骨院で交通事故の治療を受けるためには、まず整形外科などの病院で医師の診察を受け、診断書を発行してもらうことが必須です。この診断書が、交通事故による負傷であることの医学的な証明になります。そして、その医師から整骨院での施術について同意(指示)を得ることが重要です。医師が整骨院での治療を必要と判断し、同意してくれれば、保険会社もその治療費を支払う可能性が高まります。
もし医師が同意してくれない場合は、なぜ同意できないのか理由を明確に確認し、必要であれば別の医療機関でセカンドオピニオンを求めることも検討しましょう。また、整骨院の中には、連携している医療機関を持つところもありますので、相談してみるのも一つの方法です。
2. 保険会社との適切なコミュニケーション
医師の同意が得られたら、速やかにご自身の加入している保険会社(または加害者側の保険会社)に、整骨院での施術を併用する旨を連絡しましょう。この際、医師の同意が得られていることを明確に伝えることが重要です。保険会社によっては、特定の整骨院を提携先に指定している場合もありますが、基本的には患者が選んだ整骨院への通院も認められるべきです。
もし保険会社が難色を示した場合でも、感情的にならず、冷静に根拠を提示して交渉しましょう。医師の同意があること、整骨院での治療が症状改善に有効であること、そしてご自身の生活状況から通院の利便性が高いことなどを具体的に説明することが大切です。
3. 専門家への相談をためらわない
上記のような対応をしても状況が改善しない場合や、保険会社との交渉が難航する場合は、交通事故専門の弁護士や、交通事故治療に詳しい整骨院のスタッフに相談することが大切です。専門家は、法律や保険の知識、そして過去の事例に基づいて、適切なアドバイスやサポートを提供してくれます。
そういったことを含めて、まずは専門家に相談することが大切です。