物損事故扱いでも治療費・慰謝料が出る方法とは
最終更新日 2024年9月11日
交通事故の手続きには色々な書類が必要で、人身事故証明書入手不能理由書もその1つです。
物損事故から人身事故に切り替える時には人身事故証明書入手不能理由書を提出する必要があります。
実際は提出をしなくても、手続きを進める事は可能ですが、人身切り替えの届け出をしないのは、様々なリスクがあります。
物損事故になった時は、理由書は提出する方が良いでしょう。難しそうな時は、弁護士に相談してみる方法もあります。
目次
物損事故のまま治療を受ける為に必要な人身事故証明書入手不能理由書
届け出せずに物損事故のまま治療を受ける事は可能なのか?
交通事故は、必ずしも人身事故だけではありません。車がお店や施設などに衝突して、特に人的被害がなかった時などは、物損事故にはなります。
誰もケガをしていないので治療費も発生しませんし、交通違反に加点される訳でもないのです。ですから物損事故は、加害者に対するメリットもあります。タクシーや配達ドライーバーなど仕事で運転をメインにされる方が相手にお怪我をさせてしまった場合におきましても活用されるケースがあります。
また交通事故が発生していても、物損事故として処理するケースも案外多いです。
実は物損事故は人身事故への切り替えも可能なのですが、届け出手続きが済んでいないケースもよくあります。下記のような時には、切り替えが行われていない事もよくあります。
- 事故当日は何ともなかったものの翌日に痛くなってきた
- 当日は軽症であり、急いでいたので
- 軽傷だし、こちらにも非があるので物損のままにしていた
物損事故のままでも治療を受ける事はできますが、書類は必要です。
人身事故証明書入手不能理由書に記入する内容と事故の証明
具体的には、人身事故証明書入手不能理由書という書類を提出する必要があります。提出先は保険会社です。
この書面には色々な項目がありますが、中でも重要度が高いのは「人身にしなかった理由」です。もちろん、理由は正当でなければなりません。
「保険会社に頼まれた」や「加害者が免停になるのも気の毒」という理由は、原則認められません。あくまでも正当な理由を書く必要があります。詳細は後述しますが、この理由はとても大切です。
また「人身事故として届けていないものの、実際には人身事故」という事実も証明する必要があります。それも被害者本人が証明するのではなく、第三者が証明する事になるのです。
例えば事故当日に誰かが同乗していた時は、その人物に証明してもらう方法もあります。もしくは目撃者などに証明してもらう方法もあるのです。
上記の他にも色々な項目を記入し、人身事故証明書入手不能理由書を提出すれば、届け出しなくても物損事故のままの状態で治療費や慰謝料などの補償を最低限は受ける事ができます。交通事故によりお怪我をされた場合、病院(整形外科)のドクターの許可があれば整骨院との併用の治療も認められております。加害者側の保険会社も整形外科のお医者さんによる整骨院の通院許可を重要視してくる傾向にあります。ただ、そこさえしっかりと認められれば、整骨院での施術費や慰謝料を相手方の保険会社に出してもらえることは可能となります。物損事故扱いで最低限のお怪我の治療を受ける際には相手方の保険会社にも一応電話連絡はしておいた方が良いでしょう。
人身事故への届け出をしないリスクと軽傷を選択すべきでない理由
人身事故への届け出を行わないリスクと等級認定
つまり物損事故から人身事故への届け出を行わなくても、その人身事故証明書入手不能理由書を提出しておけば治療は受けられるのです。しかし、人身事故へ切り替えないのは被害者にとってのリスクがあります。
例えば後遺障害の等級です。等級認定は、比較的重たいケガの時に行われる手続きです。後遺症が残ってしまった時などは、まずは等級認定の申請を行った上で、慰謝料も請求する事になります。
しかし人身事故証明書入手不能理由書を提出すると、後遺障害認定されづらくなってしまうのです。というのも上記の理由書という書面は、たいてい「ケガが軽い」時に記入する事になります。
実際には理由の記入項目を工夫する事もできるのですが、その書類を提出してしまうのは、ある意味「私のケガは軽いです」と自己申告するような状態になってしまいます。
ケガが軽いにもかかわらず、後遺症が残ってしまう事は考えづらいでしょう。それだけに後遺症は認められなくなってしまう事が多いです。
物損事故だと治療費支払いが早期に打ち切られるリスク
それと保険会社からの治療費です。交通事故で負傷してしまった時は、病院に通う事になります。交通事故によりお怪我をされた場合、病院(整形外科)のドクターの許可があれば整骨院との併用の治療も認められております。加害者側の保険会社も整形外科のお医者さんによる整骨院の通院許可を重要視してくる傾向にあります。ただ、そこさえしっかりと認められれば、整骨院での施術費や慰謝料を相手方の保険会社に出してもらえることは可能となります。
しばらく病院(整形外科)や整骨院に通い続けたら、治療費もかかります。その負担額が大きい時には、被害者は加害者の保険会社に治療費を請求する事になるのです。
ところが上述の人身事故証明書入手不能理由書を提出してしまうと、保険会社が治療費打ち切りの話を早期に切り出してくる確率が高まってしまうのです。理由はケガの軽さです。
理由書を提出している以上、自分のケガは軽いと言っているのとほぼ同じです。という事は、保険会社としても「大したケガではない」と判断してしまい、早期に治療費打ち切りしてくるケースも御座います。被害者からすると、あまりにも早期に打ち切られるのは困るでしょう。
人身事故証明書入手不能理由書の理由は軽傷は選ぶべきでない
理由書に記入する「理由」は注意が必要です。
理由書を見てみると、証明書を入手できなかった理由を選択する欄があります。その中には、ケガはあまり重たくなかったという項目もあるのです。
被害者としては、その項目は選択すべきではありません。「私は軽傷です」と自己申告しているようなものなので、痛みがある場合には他の項目を選ぶべきでしょう。
しかし一旦その書類を提出してしまえば、やはり保険会社としては軽傷であると判断してくる事が多いです。ですから人身事故への届け出を行わないリスクは大きいです。
警察が渋るケースと人身事故届け出に関する弁護士相談
警察は人身事故届け出を渋ることも
ちなみに人身事故の届け出を行おうとすると、警察が渋ってくるケースもよくあります。
届け出の手続きを進めるためには、病院から診断書も発行してもらう事になるのですが、それを警察に提出しようとしても渋るケースがよくあるのです。
なぜ警察が渋るかと言うと、事務処理の手間があるからです。物損と人身の事故は、それぞれ調査内容も異なります。警察からすると、人身事故の方が仕事量が多くなるのです。
実況見分もその1つです。いわゆる現場調査ですが、人身事故のみ対象になります。その調査も含めて、警察の事務作業が増えてしまうので、人身への切り替えを渋られるケースはよくあります。
人身事故の届け出をしないリスクと弁護士相談
人身事故の届け出を行わないのは、被害者にとって多くのリスクがあります。上述の慰謝料や治療費打ち切りなどのリスクは、決して軽視できません。
また人身事故の届け出を行っておかないと、実況見分が行われないでしょう。証拠不足になってしまうと、低い等級で認定されてしまう可能性が大です。被害者にとっては不利な状況になってしまうのです。
なお人身事故の届け出は早めに済ませる必要があります。10日以内に手続きを行わないと、警察も受付けてくれません。慰謝料にも影響を及ぼしますし、なるべく早めに手続きを進めるべきです。
ちなみに判断に困った時は、弁護士に相談してみる方法もあります。交通事故に強い弁護士であれば、被害者にアドバイスしてくれますし、交渉を代行してもらう事も可能です。まずは弁護士に無料相談してみると良いでしょう。
人身事故証明書入手不能理由書についておさらい
物損事故扱いでも人身事故同様にお怪我の治療ができ治療費や慰謝料を受け取るには人身事故証明書入手不能理由書という書面を提出すれば、届け出をしなくても一応はケガの補償を受ける事自体は可能です。しかし後遺症の慰謝料や治療費打ち切りなどを考慮すると、被害者にとってのリスクは大きいです。交通事故によりお怪我をされた場合、病院(整形外科)のドクターの許可があれば整骨院との併用の治療も認められております。
加害者側の保険会社も整形外科のお医者さんによる整骨院の通院許可を重要視してくる傾向にあります。ただ、そこさえしっかりと認められれば、整骨院での施術費や慰謝料を相手方の保険会社に出してもらえることは可能となります。3か月4か月以内の軽傷の治療におきましては(自賠責の120万の補償範囲内で治療費や慰謝料が収まるようでありましたら)一度、物損事故扱いで治療をすることも検討をされてみてはいかがでしょうか?
ただ、お怪我が重たいと感じましたら確実に人身事故扱いの手続きは済ませておくべきです。被害者としては、色々判断が難しい事もあるでしょう。
これらの事を踏まえても状況によっては、交通事故に強い弁護士に相談してみるのも悪くありません。