交通事故の症状固定とは?誰が決めるのか?
最終更新日 2024年9月11日
交通事故の後に病院(整形外科)で治療を受けていると、回復するのは難しい段階に達する事があります。これ以上治療しても改善する見込みがない、それが症状固定です。
レントゲン画像に異常所見が見られない場合は4カ月くらい治療を継続するとに保険会社が、症状固定の話を持ち出してくる傾向があります。しかし治療費負担や回復の問題もありますので保険会社に判断を任せるのではなく、病院(整形外科)などの医療機関の医師とよく相談するのが望ましいです。
そうは言っても、交通事故の示談交渉に慣れていない被害者と保険会社と自力で交渉するのは困難です。その場合、交通事故に精通した弁護士への相談などもも検討してみる価値があります。
また病院(整形外科)の医師の許可があれば整骨院との併用の治療も認められております。加害者側の保険会社も整形外科のお医者さんによる整骨院の通院許可を重要視する傾向にあります。ただ、そこさえしっかりと認められれば、整骨院での施術費や慰謝料を相手方の保険会社に出してもらえることは可能となります。
目次
交通事故治療の症状固定の目的と日数
交通事故の後に病院(整形外科)での治療や整骨院での施術を受け続ければ、段々と回復してきます。交通事故の代表的な症状は、むち打ちですが、3カ月から4カ月くらい継続して治療をすると症状は徐々に良くなってくるものです。
ある程度状態が良くなれば、「これ以上治療しても改善の余地が無い」と判断される事があります。それが症状固定なのです。
交通事故の症状固定をする目的
実際、症状固定する意味はあるのです。交通事故の治療は、長期的に続ければ良い訳でもありません。というのも治療が長期化してしまいますと、肝心の示談に進めなくなってしまうからです。
交通事故があれば、被害者と加害者との間で話し合いする事になるでしょう。いわゆる示談です。
しかし治療中の状態ですと、話し合いをする事はできません。一旦は体調が落ち着いて治癒又は症状固定してから、示談の手続きに進む事になるのです。
症状固定の状態にすると、「これ以上は治療しても良くならない」と判断されますから、示談の手続きに進むことはできます。それは交通事故の法的手続きを短縮化できるのです。
また詳細は後述しますが、症状固定は加害者側の保険会社にとってもメリットがあります。保険会社による医療費負担額をこれ以上負担するのを抑止出来るという側面もあるからです。
症状固定されるまでの日数
ところで交通事故にあってから症状固定の状態になるのは、事故の状況にもよりますが、もちろん「即時」ではありません。例えば交通事故で負傷して入院した当日に症状固定するようなパターンは、あまり聞いたことはありません。あくまでも症状が改善した段階で、一般的には症状固定をします。
では具体的に何日ぐらいで症状固定されるかというと、それこそケースバイケースです。そもそも交通事故に関する症状も、下記のように色々あります。
- 骨折
- 脳障害
- むちうち
- 醜状障害
上記の各症状は、それぞれ症状固定されるまでの日数は異なります。例えば、『むちうち』なら3カ月から半年程度、『醜状障害』などは、およそ半年ぐらいかかります。後者の障害は、状況によっては半年以上かかる事もあります。骨折の症状なら、半年から1年くらいが目安です。そうかと思えば脳障害などは、1年以上かかる事が少なく有りません。
ただし上述の日数は、あくまでも目安です。実際には、もう少し短くなる場合や長期化するケースもあります。交通事故の状況にもよりますが被害者の方の過失割合が低くて物損の被害額が100万円を超える場合などは、症状が重いと整形外科の医師に治療の必要性があると判断され長期化する傾向があります。
保険会社から提案される交通事故の症状固定について
治療を進めますと、保険会社から症状固定に関する話が出てくる事があります。「そろそろ症状固定しませんか?」と言われる場合もあります。しかも、最近は比較的早い段階で症状固定の話が出てくる傾向があります。
加害者側の保険会社から症状固定の話が出る理由
なぜ加害者側の保険会社が症状固定の話をするかと言うと、治療費や慰謝料などの費用負担の問題があるからです。そもそもケガを治療するのであれば、治療費がかかります。その治療費は、基本的には保険会社が立て替えて先に支払っているのです。その後、加害者側の保険会社が自賠責保険に請求をかけて後から回収をするという流れです。
という事は、治療期間が長引くのは保険会社にとっては損失になります。1日あたり1万円ぐらいの治療費がかかるのであれば、治療日数が半年程度ですと180万円です。お怪我の場合に自賠責から回収できるのは、治療費や慰謝料を含めて120万円までです。この時点で、保険会社は60万円を自社で負担します。
治療が長期化すれば、保険会社としてはさらに多くの費用を負担しなければなりません。保険会社としては、いつまでたっても治療が終わらないのでは少々困るのです。そこで先程も触れたように3ヶ月目や半年目などのタイミングで、相手方の保険会社が症状固定の話を持ち出してくる事があります。
交通事故の症状固定を判断するのは医師
ところで症状固定すべきかどうかは、保険会社が判断するのではありません。その判断を下せるのは、本来は医師なのです。外傷などのお怪我の場合は整形外科の医師です。
もちろん整形外科の医師は、病状に関する様々な数字や情報を確認します。それを客観的に状況を把握した上で、治癒や症状固定にすべきかどうかの判断を下すのです。
ですので、医師とよく相談した上で、症状固定するかどうかを決めてもらうと良いでしょう。治療中の被害者自身から、「症状固定されるのはいつ頃になりそうでしょうか?」などと直接医師に質問すると大体の目安などを示してくれるかもしれません。
症状固定に関して交通事故に精通した弁護士に相談
なお症状固定は、交通事故に関する負担額にも大きく関わってきます。状況に応じて、弁護士への相談も検討してみると良いでしょう。
なぜ症状固定について弁護士に相談すると良いか?
加害者側の保険会社に任せっきりになると、後々の慰謝料が納得いかなくなってしまうケースもあります。全てを任せてしまうと、一番低い基準の「自賠責保険基準」で慰謝料が決定されてしまうのが普通です。それでは、被害者が受け取れる慰謝料が最低限になってしまう傾向があります。
ですので加害者側の保険会社から症状固定の話が持ちかけられた時は、慎重に対応すべきです。しかし交渉に慣れていないと、保険会社との話し合いで話をまとめられてしまう可能性があります。
その点、交通事故に精通した弁護士に相談すれば、自分にとって有利な結果になるケースもあるのです。保険会社との交渉は、基本的には交通事故に精通した弁護士に任せる方が無難です。
交通事故が得意な弁護士を選ぶ
ただし弁護士は慎重に選ぶべきです。一言にに弁護士といっても、それぞれ専門分野が異なります。
症状固定に関して相談したいなら、やはり「交通事故に精通した弁護士」を選ぶ方が良いでしょう。交通事故が得意な弁護士であれば、多くのノウハウが蓄積されていますので、加害者側との示談交渉もスムーズに行ってくれるでしょう。
交通事故治療による症状固定のまとめ
交通事故によりお怪我をされた場合、病院(整形外科)のドクターの許可があれば整骨院との併用の治療も認められております。加害者側の保険会社も整形外科の医師による整骨院の通院許可を重要視してくる傾向にあります。
医師からの併用が認められれば、整骨院での施術費や慰謝料を相手方の保険会社に出してもらえることが可能です。
交通事故の被害に遭いむちうちや外傷などがある場合は整形外科の医師に早めに受診し、弁護士などにも相談した上で、できる限りご自身で慎重に選択するのが良いでしょう。
そもそも症状を固定するかどうかは、加害者側の保険会社が決めるものではありません。あくまでも医師が最終的な判断を下す訳です。症状固定するよう交渉してきても、ご自身でよく調べて適切な弁護士にも相談してみてはいかがでしょうか。