物損事故から人身事故への切り替えで加害者が警察に来ない時の対処法
最終更新日 2024年9月25日
交通事故の加害者は、必ずしも適切に対応してくれるとは限りません。
人身事故に切り替えたいにもかかわらず、警察に来てくれない事もあるからです。
加害者によっては、音信不通になってしまう事さえあります。
対処方法は、やはり弁護士に相談するのが一番無難です。内容証明を被害者自身が送付するケースもありますが、弁護士が送付すると態度が急変する加害者も多くいます。訴訟などで対処するにしても、まずは相談してみるべきです。
目次
物損事故から人身事故への切り替えと警察に行かないトラブル
物損事故から人身事故に切り替えたい
交通事故には、人身事故と物損事故の2種類があります。前者の事故は、もちろん誰かがケガをしてしまうような事故です。治療費や慰謝料などが発生し、慰謝料が支払われているケースも多々あります。
後者の物損事故については、その賠償額はかなり低めです。交通違反の点数も低めなのですが、誰かが負傷している訳では無いからです。せいぜい運転車両が破損した程度の事故が多く、賠償額も低めになる傾向があります。
しかし被害者からすると、賠償額の金額が低めになるのは困るでしょう。治療費や精神的苦痛が大きいと、それなりの金額を支払ってもらわないと困ります。そこで被害者は、物損事故から人身事故に切り替えるケースが多いです。
人身事故に切り替えるために加害者と一緒に警察に行く
人身事故へ切り替えるためには、基本的には警察に行く必要があります。それも交通事故が発生してから、なるべく早めに警察に行くべきです。
警察に行く理由の1つは実況見分です。物損事故でも、警察としては大まかな現場確認や調査などは行ってくれます。本当に大まかなレベルなので、あまり実効性を持たないケースが多いです。
しかし実況見分であれば、更に細かな調査が行われます。物損事故では実況見分が行われないので、詳しい証拠を提示したい被害者からすると、やはり人身事故に切り替えたいでしょう。
ただ物損事故から人身事故の切り替えは、警察署で手続きを行う必要があります。それも基本的には被害者だけではなく、加害者も出頭する必要があります。人身事故扱いの場合、捜査義務が警察に発生し当事者双方から事情を聞く必要があるためです。
加害者が警察に行かない
冒頭でも触れた通り、加害者は必ずしも適切に対応してくれるとは限りません。何らかの意図があって、警察への出頭を拒否するケースがあります。
例えば任意保険に未加入などの理由があります。加害者は自賠責保険にしか加入していない上に、賠償額がそれなりに高くなりそうな時などは、警察に行くのを拒否することがあります。
しかし交通事故の被害者からすると、警察に来てくれないのは困ります。来てくれないと、人身事故への切り替えもできないでしょう。
交通事故の加害者が警察に来ない時の対処方法
交通事故の加害者が警察に行かない時の少額訴訟
上記のようなトラブルが生じた時の対処法ですが、訴訟や調停などの手段もあります。加害者の携帯に電話してみても、全く応じてくれない時などは、内容証明郵便を送付するのが一般的です。内容証明で送ってみると、加害者によっては事態の重さを実感して、応じてくれるケースもあるからです。
しかし、もちろん全ての加害者が応じてくれるとは限りません。その場合は、やむを得ずに訴訟に踏み切るケースもあるのです。請求額が60万円以下の時などは、少額訴訟も検討してみる価値はあります。
訴訟にも様々な選択肢があって、少額訴訟は比較的スピーディーに手続きが進みます。1日ぐらいで判決が出る実例も多いので、試してみる価値はあります。
ちなみに少額訴訟を起こす場合は、裁判所には書類も提出する必要があります。と言っても2種類の書類だけです。訴状と証拠を提出すれば、とてもスピーディーに手続きを進めてくれます。早ければ、当日中に判決が出ます。
当て逃げ事故なら警察による追跡依頼も可能
また事故の状況によっては、警察に調査を依頼する事も可能なのです。
例えば当て逃げです。当て逃げは、事故としては比較的重い罪です。明らかな犯罪ですから、警察に申請すれば捜査を行ってもらう事も可能なのです。幸いにも警察は、様々な道具で追跡してくれます。防犯カメラやドライブレコーダーなどを活用して、加害者を追跡してもらう事も可能なのです。それで警察が加害者を見つけてくれたら、改めて同行するよう伝える事もできますし、状況によっては賠償金も請求できます。
ただしその追跡は、あくまでも当て逃げなどの重い罪に限定されます。事故の状況によっては、警察による追跡は困難な事もあります。
人身切り替えに関して弁護士に相談
そして加害者が警察に行かない時には、やはり弁護士に相談するのが無難です。
内容証明などの郵便物を送付するにしても、被害者自身で送付するよりも弁護士が代行した場合の方が加害者は応じやすいです。被害者の個人名で送付しても、なかなか応じてくれないケースも多く、弁護士が間に入るだけでもだいぶ違います。
それと対応方法です。加害者が真摯に対応してくれないと、被害者本人としては悩んでしまう事もあるでしょう。適切に対応すべきだと分かっていても、具体的にどうすれば良いか悩んでいる被害者も少なくありません。
その点弁護士は、被害者の対応方法のアドバイスも行ってくれるのです。手続きをスムーズに進める為にも、まずは弁護士に相談してみるのが無難です。
警察が人身事故への切り替えを渋ってくるケースとその対処法
警察が人身事故への切り替え手続きを渋る
ちなみに人身切り替えの手続きを進める際に、実は警察が渋ってくるケースもよくあります。警察としては、あまり事務作業を増やしたくない事もあり、人身切り替えを拒んでくるケースもあるのです。
経過日数も要注意です。事故が発生してから多くの日数が経過していると、警察としては人身切り替えの手続きを受理してくれないケースがあります。
基本的には10日以内に切り換え手続きを済ませる必要があります。日数が経過してしまうと、どんどん被害者にとって不利な状況になってしまうので、注意が必要です。
警察が人身事故への切り替えを渋っている時は弁護士に相談
警察が渋っている時はどうすれば良いかというと、やはり弁護士に相談すべきです。というのも弁護士を立ててみると、警察の対応が急変するケースはよくあるのです。弁護士が間に入ってくれるだけでも、随分違います。
ただ弁護士に相談するにしても、やはり診断書を準備しておく方が良いでしょう。後々の後遺障害の手続きにも関わってきますし、事故とケガとの因果関係を証明する診断書を準備しておく方が無難です。診断書は、有力な証拠になり得るのです。
なお弁護士は、その診断書に対するチェックも行ってくれます。適切な診断書を書いてもらう為にも、相談がおすすめです。
物損事故から人身事故への切り替えについておさらい
患者様がお怪我をされた場合に、治療が必要となり物損事故から人身事故に切り替えると実際には相手の車の免許の点数が引かれますので、タクシードライバーや配送業者など車の運転でお仕事をされている方にとっては最悪な場合、仕事がなくなってしまうこともあります。そんな場合には、相手の対応が紳士的な場合には、温情で物損事故のまま処理をしてあげることもあるかなと思います。
物損事故扱いのままでも相手方の保険会社に治療費は出してくれるのかを口頭でもまずは確認しましょう。率直に申しますと、物損事故扱いのままでも治療費を請求することも出来ます。その場合には『人身事故証明書入手不能理由書』を相手方の保険会社に提出しましょう。
また、物損事故から人身事故扱いに切り替える際に加害者に非があるにもかかわらず、警察に来てくれない場合となると、やはり被害者としては大変困ります。連絡が取れない時などは、やはり内容証明や少額訴訟などで対処してみると良いでしょう。
そして、その場合にもやはり交通事故に精通した弁護士に相談です。弁護士に相談すると、適切な対処方法をアドバイスしてくれますから、手続きもスムーズに進みやすいです。
交通事故に精通した弁護士に依頼するだけでも、警察の対応が大きく変わる事も珍しくありませんし、まずは相談がおすすめです。