むちうちの診断書の重要性と取得時の注意点
最終更新日 2024年9月11日
交通事故に遭うと、パニックや興奮状態になることがよくあります。
そういった状態になると、必要な事故対応が抜けたり、遅れた場合は、本来利用できるはずの保険が使えなくなるおそれがあります。
この記事では、特に自賠責保険を利用する際に重要な「むちうちの診断書」をテーマに、以下のことがわかるようにまとめています。
- むちうちで診断書が重要な理由
- 必要な診断書の種類
- むちうちの診断書作成時の注意点
- 診断書に書かれている全治日数の意味
交通事故のむちうちでお困りの方は、ぜひ最後までお読みください。
今すぐ治療先を探したい方はサポートセンターへご相談ください。
目次
むちうちで診断書が重要な理由
むちうちでは、なぜ診断書が重要になるのでしょうか?
また、診断書はどこに提出する必要があるのでしょうか?
診断書の重要性や種類について、こちらで詳しくご紹介していきます。
交通事故の処理に診断書が必要
交通事故に遭った際には、まずはケガ人の救護を優先しましょう。
重傷者がいれば救急車の要請をして、警察へも必ず連絡してください。
そして事故についての初期対応が落ち着いたら、なるべく早めに病院に行きましょう。
損害賠償や慰謝料を請求するには、診断書が必要になるためです。
診断書の提出先について
診断書には主に「警察への提出用」「保険会社への提出用」「後遺障害認定用」の3つの種類があります。
警察への提出
物損事故から人身事故に切り替えるためには、警察へ診断書を提出する必要があります。
むちうちのように見た目の外傷が分からない場合は、警察は物損事故として処理をすることがあります。
しかし、物損事故のままでは、ケガの治療費や慰謝料を請求できません。
また、物損事故の扱いだと、実況見分が行われないというデメリットもあります。
過失割合や事故状況で揉めた場合、実況見分がなければ、主張を裏付ける証拠がなくなることが考えられます。
警察へ診断書を提出する期限は特にありませんが、なるべく早めに診断書を取得して、警察に提出することをおすすめします。
診断書が遅くなった場合、交通事故とむちうちによる症状の因果関係を認めてもらえない可能性があるためです。
事故日から2~3日以内、遅くても一週間以内には提出するようにしましょう。
保険会社への提出
自賠責保険を利用してケガの治療・施術を受けるためには、保険会社に診断書を提出する必要があります。
「一括対応」「被害者請求」によって、提出する方法が異なります。
請求方法 | 提出方法 |
---|---|
一括対応 | 加害者の任意保険会社が、請求を行う方法です。診断書も保険会社が提出してくれます。 |
被害者請求 | 被害者自身が加害者の自賠責保険に請求する方法です。被害者が自賠責保険へ医師の診断書を提出します。 |
多くのケースでは、一括対応が行われます。
一括対応は、被害者の医療情報を任意保険会社に開示するための同意書が必要です。
保険会社への診断書の提出期限は3年です。
期限を超えると慰謝料や治療費を請求できなくなるため、なるべく早めに提出しましょう。
後遺障害認定用
後遺障害認定を受けるためには、医師の診断書が必要です。
事故から半年を目安に、「これ以上、治療や施術を続けても改善が見込めない」と医師が判断することを「症状固定」と呼びます。
症状固定になると、治療費の支払いやその他の補償が打ち切られます。
しかし、後遺障害が認定されれば、等級に応じた後遺障害慰謝料や損失利益などを請求することが可能です。
休業補償用
上述の3種類の診断書に加えて、会社に提出するものもあります。
「ケガによって就労が難しい」と記載された診断書があれば、休業補償を受けることができます。
通院や体調不良によって仕事ができなかった場合、医師の診断書があれば一定額を補償してもらえます。
しかし、自己判断で勝手に休んだ場合は、補償を受けられませんのでご注意ください。
むちうちの診断書作成時の注意点
医師にむちうちの診断書を作成してもらう場合は、どのような注意点があるのでしょうか?
自賠責保険からの補償をしっかりと受けられるよう、以下のポイントにお気をつけください。
医師に症状を詳しく伝える
むちうちは、レントゲンやMRIなどの画像検査では、異常が見つかりにくい外傷です。
そのため、患者の自覚症状をメインに診断書が作成されます。
首の痛みをはじめ、「首の動かしにくさ」「張り感」「熱感」「しびれ」「頭痛」「倦怠感」など、体の気になる症状は、漏れがないように詳しく伝えるようにしてください。
些細に思える症状もしっかり伝える
「これくらいの痛みなら言わなくてもいいかな」と自己判断はしないようにお気をつけください。
些細に思える痛みや違和感も医師に必ず伝えるようにしましょう。
交通事故直後は脳が興奮状態にあるため、自覚症状に乏しいことがあります。
アドレナリンの作用で、一時的に症状が抑えられるからです。
しかし、時間が経過して、アドレナリンの作用が治まってから不調を訴えたとしても、「事故の衝撃とは関係がない」と判断されるおそれがあります。
診断書の費用は加害者に請求可能
診断書の発行にかかる費用は、加害者の自賠責保険にて補償されます。
請求時に必要になるため、領収書はきちんと保管するようにしてください。
むちうちは診断書では全治2週間の場合が多い
むちうちの診断書には、「頚椎捻挫:全治2週間」と書かれることが多いです。
道路交通法施行令によれば、被害者の全治期間が15日を超えた場合は、交通事故加害者の罪が重くなります。
加害者の処分が重くなりすぎないよう、明らかな外傷がみられない場合は、「全治2週間」と診断される傾向があります。
診断書の全治日数はあくまでも目安
診断書に記載されている全治日数は、あくまでも目安です。
むちうちの施術期間は、およそ3ヶ月ほどとされます。
しかし、症状は人それぞれですので、1週間程度で改善される場合もあれば、3ヶ月以上痛みが続く場合もあります。
全治日数を超えても補償は受けられる
「診断書に記載されている2週間を超えたら、もう補償は受けられないの?」と不安に思う方がいるかもしれません。
診断書に記載されている全治日数は、あくまでも目安です。したがって、症状が改善されていない場合は、引き続き治療費の補償を受けられますので安心してください。
むちうちの症状が改善しない場合は、医師にその旨をしっかりと伝えて、治療を続けていきましょう。
整骨院でむちうち施術が受けられる
むちうちの症状を早期改善するには、整形外科での治療だけではなく、整骨院・接骨院での施術も有効です。
整骨院・接骨院で行われる施術とメリットについて
整骨院・接骨院では、首や背中、肩まわりを中心としたもみほぐし、骨格の矯正、電気施術が施されます。
手技や電気の刺激によって、患部の血流を促します。
血行が促進されることで、損傷の回復に必要な酸素や栄養素が運搬されやすくなるのです。
また、筋肉の緊張を緩めるため、首の可動域も改善されやすくなります。
病院での交通事故治療は、湿布や痛み止めの処方に限られることが一般的です。
一方で、整骨院・接骨院では、実際に患部に施術を加えていきます。
患部の治癒力が高められ、神経を刺激する骨格のゆがみも解消されることから、後遺症も残りにくくなると言われています。
病院と整骨院の併用には医師の同意が必要
整骨院・接骨院と整形外科を併用する場合は、必ず医師の同意をもらうようにしてください。
それに加え、保険会社へも伝えるようにしてください。
自己判断で併用していた場合は、整骨院・接骨院の施術費用が補償されない可能性があります。
また、整骨院や接骨院をメインに利用される場合も、月に1,2回を目安に医師の診断を受けるようにしてください。
※接骨院・整骨院は医療機関ではないため、診断は行えません。
むちうちへの治療や施術には診断書が必須です
- 加害者側の保険会社からの補償でむちうちの治療を受けるためには、警察や保険会社に診断書を提出する必要がある
- むちうちの診断を受ける際には、医師に詳しく症状を伝えるようにする
- 診断書に書かれているむちうちの全治日数はあくまでも目安である
- 医師の同意を得られれば、整骨院や接骨院でむちうちへの施術を受けられる
事故直後は、痛みを感じにくいかもしれません。
しかし適切な補償を受けるためにも、なるべく早めに病院に行って診断書をもらうようにしましょう。
また、医師の診断書と同意がありましたら、整骨院や接骨院でむちうちへの施術を受けることが可能です。