むちうちで背中の痛みは起こる?通院先やセルフケアの方法について
最終更新日 2024年9月11日
「事故後に背中が痛くなってきたけど、これもむちうちなの?」
「交通事故による背中の痛みは、どこで治療を受けたらいいの?」
「事故後の背中の痛みを自分でも対処したい!」
上記のような、疑問やご要望にお答えすべく、こちらのページでは以下の項目が分かるようにまとめてあります。
- むちうちで背中が痛くなるメカニズム
- むちうちの主な症状
- 背中の痛みの通院先と治療方法
- 整骨院でむちうちの施術を受けるための手順
- むちうちの改善が期待できるセルフケアの方法
ぜひ最後までお読みになり、お悩みの解決に役立てていただければと思います。
目次
むちうちで背中が痛くなる原因
むちうちの症状の一つに「背中の痛み」があります。
なぜ交通事故の影響で背中が痛くなるのか、そのメカニズムやむちうちの特徴を詳しく解説していきます。
むちうちとは
むちうちとは、不意な衝撃を受けた際に発生する、首の症状の総称をいいます。
受傷時に首が鞭のようにしなるため「むちうち」と呼ばれていますが、正式な負傷名ではありません。医学的には「外傷性頸部症候群」「頚椎捻挫」「頸部挫傷」などと呼ばれています。
むちうちは「自動車の追突」「バイクとの接触」など、交通事故時に発生することが多い症状です。
むちうちで背中が痛くなるのはなぜ?
むちうちでは、首だけで無く背中にまで痛みが広がることがあります。
例えば、後方から追突された際、頭部が勢いよく後方に振られます。その反動で頭部が前方に振られます。
首が正常の可動域を超えて強く前屈されることで、背中の筋肉が引き伸ばされ、損傷してしまうのです。
また、事故の衝撃をこらえるために背中の筋肉が強く収縮し、筋線維や筋膜を痛めてしまうことも考えられます。
むちうちは痛みが遅れて出てくることが多い
むちうちは、事故後に自覚症状がなくても、数時間〜数日経過して痛みを感じるケースが多いです。
なぜ首や背中を痛めているにもかかわらず、事故後には痛みを感じにくいのでしょうか?
その理由の一つに、アドレナリンの作用が考えられています。
交通事故という慣れない環境に脳が過剰に興奮し、アドレナリンが大量に分泌されます。
すると感覚を伝える神経が麻痺させられ、一時的に痛みが抑えられてしまうのです。
また、警察や保険会社などとのやり取りが続き、自身の身体に意識が向かないことも痛みを感じにくい原因に挙げられるでしょう。
状況が落ち着き、アドレナリンの分泌も減少してきたタイミングで徐々に痛みを感じ始めることが考えられます。
軽い追突でもむちうちは起こりうる
一見大したことが無いように思える事故でも、むちうちになる可能性があります。
車の運転中は頭部を固定できないため、たとえコツンと当たった程度の衝撃でも、頭が振られてしまうのです。
また、頭部の大きさの割に首は細いため、軽く頭が振られるだけでも大きな負担がかかり、負傷してしまうことが考えられます。
腰の痛みにつながる場合もある
背中の痛みを長引かせるほど、腰の筋肉が強くこわばり、腰痛につながるおそれがあります。
体に痛みを抱えていると、患部をかばおうとして周辺の緊張が強まってしまうのです。
症状を広げないよう、痛みは早めに治療していくことが大切です。
むちうちの種類と主な症状
むちうちの多くは、「頚椎捻挫型」だといわれています。
頚椎周辺の筋肉や靭帯などを損傷することで、「首の痛み」「首の可動域制限」といった症状がみられやすいです。
また、背中の筋肉まで負傷した場合は、肩甲骨周辺の痛みや、前屈、後屈、回旋といった体幹の動きまで制限されることもあります。
その他、むちうちには事故の衝撃で神経を痛めてしまう、以下のタイプも挙げられます。
※複数の種類が同時に発生するケースもあります。
神経根症状型
末梢神経の根元部分、知覚神経と運動神経が束になった箇所を神経根といいます。
その神経根が引き伸ばされたり、圧迫されたりすることで、手のしびれや放散痛を生じる場合があります。
脊髄症状型
中枢神経である、脊髄(頸髄)を損傷したタイプです。
首から上肢の症状に限らず、足のしびれや歩行障害を生じるケースもあります。
バレー・リュー症候群
事故の衝撃で自律神経が傷害された状態とされます。
自律神経のバランスが崩れることで、頭痛や吐き気、耳鳴り、倦怠感といった自律神経失調症の症状を生じる場合があります。
むちうちによる背中の痛みの通院先・治療方法
むちうちの影響で背中が痛む場合は、どこで治療を受けたらいいのでしょうか?
むちうち治療の通院先としては、主に「病院(整形外科)」「整骨院」「鍼灸院」が挙げられます。
病院(整形外科)
病院の中でも、とくに「整形外科」でむちうちの治療を受ける形となります。整形外科では、「痛み止めや湿布の処方」が治療のメインとなるでしょう。
また病院によっては、電気治療を行ったり、手技による施術が行われたりする場合もあります。
整骨院・接骨院
もみほぐしや矯正といった手技による施術や、電気治療などをメインに患部の治癒力を高めていきます。
首や背中など患部の筋肉を中心に、必要があれば骨盤や腕まわりといった他の箇所を施術していくこともあります。
整骨院では医療機関と同様に、自賠責保険を使っての施術を受けられます。
鍼灸院
鍼やお灸を使った施術が行われます。
鍼の刺入やお灸の温熱によってツボを刺激して、痛みを緩和したり、自律神経の状態を整えたりします。
鍼灸整骨院のように、柔道整復師と鍼灸師が在籍している場合、整骨院と鍼灸院のどちらの施術も受けられる場合があります。
むちうちによる背中の痛みを整骨院で施術する手順
むちうちによる背中の痛みをより早く緩和するには、医療機関での検査、治療とともに、整骨院でしっかり患部を施術していくことが大切です。
整骨院で自賠責保険を利用した施術を受ける場合、以下のような手順を踏む必要があります。
医療機関で検査を受けて診断書をもらう
まずは医療機関で検査を受けてください。
自賠責保険を使う際には「事故で負傷した」という医師の診断書が必要となります。
受傷直後は、とくに異変を感じないこともあるでしょう。
しかし事故から時間が経つと、交通事故と背中の痛みの因果関係を認めてもらえない可能性も出てきます。
そのため、自覚症状が乏しくても、事故後なるべく早めに医療機関を受診しておくことが重要となります
。
医師の同意をもらう・保険会社に連絡する
必ず医師の同意をもらってから、整骨院に行くようにしてください。
また、整骨院の施術を希望する旨を、あらかじめ保険会社にも相談するようにしましょう。
もし勝手にに整骨院に通っていた場合、整骨院の施術に自賠責保険が適用されないおそれもあるため、注意が必要です。
むちうちによる背中の痛みへの対処法
むちうちにより背中を痛めた場合、自身ではどのような対処ができるのでしょうか?
患部の状態によって、以下のようなケアが有効とされます。
冷やす・安静にする(痛めた直後)
おおよそですが、受傷後の数日〜1週間ほどは炎症が強く出ている「急性期」になります。
急性期は無理をせず安静を心がけてください。
また、熱っぽくなっている箇所を冷やすことにより、炎症の緩和を図れます。
氷水を当てて、10分を目安にアイシングします。
一旦冷却をやめてみて、痛みが戻るようであれば、再度冷やすようにしましょう。
ストレッチ(痛みが落ち着いた時期)
患部の強い痛みや熱っぽさがひいてきましたら、徐々に患部を動かしていきましょう。
お風呂上がりにストレッチを行うことで、可動域の早期改善が期待できます。
- 右手を左の側頭部に当てる
- 頭を右に倒し、手で軽く押すようにして首から肩の筋肉をゆっくり伸ばす
- 20秒ほど伸ばしたら、反対側も同様に行う
また、下を向いて後頭部を軽く上から押すことで、首の後ろ側から背中にかけての筋肉もストレッチできます。
無理をせず、痛気持ちいい角度で行うようにしてください。
むちうちで背中を痛めた場合のおさらい
- むちうちでは首の症状とともに、背中の痛みをともなうことがある
- むちうちは、神経への障害をともなうことがある
- むちうち治療の通院先には、病院、整骨院、鍼灸院などがある
- 整骨院でむちうちの施術を受けるには、「医師の診断書」と「医師、保険会社の同意」が必要である
- むちうちによる背中の痛みには、状態に合わせたケアが大切である
むちうちによる背中の痛みは、まず専門家の処置や指導を受けるようにしましょう。
また、整骨院でも施術は可能ですので、お気軽にご相談ください。
むちうちは、首の痛みや可動域制限などが後遺症として残りやすくなっています。
治癒するまでしっかりと治療や施術を続けていきましょう。