人身事故や物損事故が起きた時の点数や罰金
最終更新日 2024年9月11日
交通事故の加害者には、罰則があります。
分かりやすい例はスピード違反やシートベルト着用義務違反などで、白バイなどに止められて切符を切られている光景を見かける事もあるでしょう。
その際の金額は、点数によって決定されるのです。ちなみに交通事故の点数システムは、減点方式ではありません。発生した点数の合計値を算出して、それに応じた罰金など支払います。
人身事故の方が罰は重く、物損は比較的軽めではあります。
目次
人身事故の点数と罰金などの処分
人身事故の重さによって異なる点数
そもそも人身事故には、下記のように色々な点数があるのです。
- 死亡事故は20点
- 軽傷事故は6点
- 重症事故は13点
- ひき逃げは35点
交通事故の重さによって、点数が異なります。上記の他にも、安全運転義務違反という要素があります。交通事故が発生すれば、無条件で2点加算されるのです。
なお上述の重症や軽症にも、細かい分類があります。交通事故で負傷すれば、整形外科などで治療を受ける事になるでしょう。その治療の期間に応じて分類されるのです。
通院期間が2ヶ月程度で済むケースもあれば、4ヶ月や半年など長期化するケースもあります。整形外科の医師による診断書に記載されている治療期間が長ければ、加算される違反点数も大きくなるのです。
交通事故により被害者が人身事故として扱ってもらうためには警察用の診断書が必要になってきます。警察用の診断書に記載されている通院期間が30日から89日以内の重症事故であれば、加害者が加算される違反点数は9点になります。それ以上の日数ですと13点になるのです。
軽症にも期間の分類があって、15日から29日であれば6点になりますが、それ以下の日数なら3点になります。お医者さんの診断書に全治2週間と記載されているケースがよく御座います。
被害者からすると2週間しか治療ができないのか?と疑問に思われるかもしれませんが交通事故の場合、道路交通法施行別表代二 三 違反行為に付する付加点数に定められていますように治療期間が15日以上になると加害者の違反点数が変わってきて下手すると一発免停になりかねませんので整形外科のドクターも慎重に考慮してあえて『全治2週間』と記載することがあります。
被害者の方は診断書に全治2週間と記載されていても医師が治療の必要性が認められたら最低でも3カ月から4カ月くらいは治療は出来ますのでご安心下さい。
ただし、被害者のお車の物損被害額や事故態様などは相手の保険会社にも重要視されますので、コツンと軽くあてられたような交通事故では治療の必要性を証明することはかなり難しいです。
あくまでも目安ですが、物損の被害額が30万未満ならば3か月以内で治療を終えるのが好ましいと言えるのではないでしょうか。勿論、その場合でも整形外科のドクターの診断と治療の必要性を認めてもらえた場合に限ります。整形外科での診断書にかかる費用は3,000円から5,000円程になります。人身事故扱いにする場合には、警察には1週間以内に提出するのが好ましいでしょう。
人身事故の専らという要素と加算数字
なお人身事故には、「専ら」という要素もあるのです。ある意味過失割合に近いものがあります。
そもそも人身事故は、必ずしも加害者側の過失が100%であるとは限りません。被害者側にも何らかの過失がある事故もあります。その過失の度合いによって賠償額も変わってくるのですが、交通違反の点数も同様です。
加害者側の過失が100%であれば、「専ら」であると見なされます。しかし80%や70%など、過失100%以外の実例の場合は、「専ら以外」であると分類されるのです。
上記でも少々触れた通り、通院日数が半年など長期に渡る重症事故は13点になりますが、それは「専ら」の時です。加害者側の過失割合が低い時には、「専ら以外」の9点になるのです。
人身事故の点数を基準にした色々な処分
加算された点数の合計値を基準に、加害者側に対する処分が決定されます。
そもそも交通違反には、下記のように色々な処分があります。
- 罰金
- 免許停止
- 免許取り消し
- 懲役
人身事故や物損事故の場合、罰金の処分が下る実例が一番多いと言われています。
また免許停止と免許取り消しは意味が異なり、停止とは車の運転を強制的にストップさせられることです。そして取消とは、運転免許自体を取り上げられます。ですから車を運転したいなら、もう一度教習所に通う必要があるのです。
具体的にどのような処分が下るかは、累積点数次第です。点数が多ければ、厳しい処分が下ります。
人身事故の罰金の具体的な金額と慰謝料
人身事故による罰金は何円ぐらいなのか
では罰金は何円程度になるかというと、もちろんケガの重さ次第です。被害者が重症であれば、多くのお金を支払う形になります。
下記のように、負傷度と罰金との間に比例関係があるのです。
2週間以内の軽症や物損 | 12~20万円 |
---|---|
通院15~30日程度の軽症 | 15~30万円 |
30~89日程度の重症 | 30~50万円 |
90日以上の重症 | 30~50万円 |
ですから加害者側としては、最低でも12万円は支払う形になります。
ちなみに上記の負傷度にも「専ら」の要素があって、もちろん過失割合が大きい方が罰金額も高くなります。専らであれば30~50万円になりますが、専ら以外の人身事故ですと、20~50万円といった具合です。
人身事故で被害者に丁寧に対応すべき理由
例外もあります。被害者側からの訴えがあれば、上記のような罰金が発生しないパターンもあるからです。
例えば被害者から「あの加害者は許してあげて欲しい」などの訴えがあった時です。その場合、被害者の意向を尊重して刑事罰にならないケースがあります。
このため人身事故の加害者としては、被害者にはなるべく丁寧に接する必要があります。お見舞いなどを丁寧に行っておくと、上記のような被害者の訴えが出る可能性もあるからです。
人身事故の被害者への慰謝料もある
また罰金とは別に被害者に対する慰謝料もあります。上述の12万などの罰金とは別に、被害者に対してお金を支払う事になるのです。
慰謝料も、後遺障害の重さに左右されます。通院期間が長かった時には、慰謝料も多額になるのは間違いありません。被害者側が弁護士を立ててきた時には、支払う金額も大きくなります。ですから多くの運転手は、任意保険に加入しているのです。
車を運転するなら、自賠責には加入する事になりますが、正直それだけでは足りません。多額の慰謝料を加害者が自腹で支払うことになってしまいますから、万が一に備えて任意保険に加入しておくのが一般的です。
物損事故の罰金と例外的なパターン
物損事故の点数や罰金はどうなるのか
ところで上記で触れた点数や罰金は、あくまでも人身事故のケースです。交通事故は、何も人身だけではありません。人的被害は無いものの、物だけが壊れる物損事故もあるでしょう。
実は物損事故の場合は、上記のような点数が無いのです。基本的にはゼロ点という事になります。ゼロ点である以上は、もちろん加害者側に対する罰金もありません。
このため切符のやり取りもないのです。スピード違反があり、警察官が切符を切っている光景を見かける事もたまにあるでしょう。ですが物損事故の場合は、その切符を切る事もありません。ただ物を壊しているのは事実ですから、壊してしまった物を弁償する事にはなるでしょう。
物損事故でも点数が加算される事もある
しかし、何事も例外はあります。物損事故の状況によっては、罰金を支払うパターンもあるのです。
例えば逃げた時です。たまたま誰もいないお店に車が突っ込んでしまい、大破してしまいました。お店の修理代金などを弁償しかねない状況なので、怖くなって現場から逃げてしまいました。
その場合、ほぼ無条件に7点になります。内訳ですが、事故を起こしている時点で無条件に2点が加算され、当て逃げ分の5点が加算される形になります。6点を超えているので、免許停止になるのは確実です。停止日数は30日です。
それと無免許運転です。もちろん道路を車で走る時には、運転免許を取っている必要があります。無免許運転は道交法違反に該当しますので、無条件に25点が加算される形になります。
まとめ
交通事故により被害者が人身事故として扱ってもらうためには警察用の診断書が必要になってきます。警察用の診断書に記載されている通院期間が30日から89日以内の重症事故であれば、加害者が加算される違反点数は9点になります。
それ以上の日数ですと13点になるのです。軽症にも期間の分類があって、15日から29日であれば6点になりますが、それ以下の日数なら3点になります。
お医者さんの診断書に全治2週間と記載されているケースがよく御座います。被害者からすると2週間しか治療ができないのか?と疑問に思われるかもしれませんが交通事故の場合、『道路交通法施行別表代二 三 違反行為』に付する付加点数に定められていますように治療期間が15日以上になると加害者の違反点数が変わってきて下手すると一発免停になりかねませんので整形外科のドクターも慎重に考慮してあえて『全治2週間』と記載することがあります。
被害者の方は診断書に全治2週間と記載されていても医師が治療の必要性が認められたら最低でも3カ月から4カ月くらいは治療は出来ますのでご安心下さい。ただし、被害者のお車の物損被害額や事故態様などは相手の保険会社にも重要視されます。
物損事故はともかく、人身事故は状況の重たさに応じた減点点数が加算されていく形になります。累計点数が多ければ、もちろん罰金などの金額も大きくなる訳です。たいていは罰金刑の処分がおりますが、重たい事故ですと免許停止や免許取消になるケースもありますから、十分な注意が必要です。
加害者側としては、やはり任意保険には加入しておく方が良いでしょう。そして被害者には丁寧に対応する必要があります。