交通事故で一番多い症状「むちうち」徹底解説

最終更新日 2025年12月5日
交通事故に遭われた際、最も多いとされる怪我の一つが「むちうち」です。本記事では、むちうちの原因、症状、適切な治療法、後遺症のリスク、そして慰謝料請求に至るまでを、皆様が安心して治療に専念できるよう、詳しく解説します。
目次
交通事故によるむちうちとは:そのメカニズムと正式名称
交通事故の衝撃、特に追突などによって、首がむちのようにしなり、首周辺の靭帯、筋肉、神経などの軟部組織が損傷することを「むちうち」と呼びます。
これは通称であり、正式名称は「外傷性頚部症候群」です。診断名としては「頚部捻挫」や「頸椎捻挫」と診断されることが一般的です。医師が発行する診断書には「むちうち」という記載はされないため、医師からの説明をよく確認し、ご自身の症状と診断名をしっかりと把握しておきましょう。また、むちうちの症状は事故直後には現れにくい特性があるため、むちうちの症状が現れるタイミングと注意点も理解しておくことが重要です。
むちうちの原因:追突方向が症状に与える影響
むちうちは、車両の衝突方向(正面、横、後方)によって首にかかる負担や損傷の様態が異なり、結果として現れる症状にも違いが出ます。
人間の首の可動域は前後約60°程度ですが、交通事故の予期せぬ衝撃は、この生理的な可動域を大きく超える力が加わることで、首の靭帯や筋肉などが損傷してしまいます。
- 正面からの追突:前方からの衝撃により、首が後方に大きく伸びた後、急激に前方に振られることで損傷が生じます。この際、シートベルトによって体幹は固定されるため、首への負担がより集中しやすくなります。
- 後方からの追突:最も典型的なパターンで、首が後ろに過伸展した後、反動で前方に屈曲します(交通事故によるむちうちの約90%を占めるといわれています)。この「S字カーブ」を描くような動きが、首への大きな負担となります。ヘッドレストが適切に調整されていない場合、この動きがより大きくなり、損傷も重くなる傾向があります。
- 側方からの追突:横からの衝撃により、首が左右に大きく傾き、肩に当たるまで曲がることがあります。これにより、複雑な筋肉・靭帯の損傷や、重度の場合には脊髄神経の引き抜き損傷といった深刻な怪我を引き起こすこともあります。シートベルトだけでは防ぎきれない横方向からの衝撃は、首の側部に大きなダメージを与えます。
どの方向からの衝撃であっても、首への過度な負担がむちうちの原因となるため、事故に遭われた際は、軽微な衝撃でも油断せず、早期の受診が重要です。万が一、症状を放置してしまうと、むちうち症状を放置するリスクが高まります。
むちうちの多様な症状:首の痛みだけではない影響
むちうちは単に首や肩の痛みにとどまらず、多岐にわたる症状を引き起こすことがあります。その症状は、損傷部位や程度、そして個人の体質によって大きく異なります。早期に正確な診断を受けることが、適切な治療への第一歩となります。
- 首・肩の痛みと可動域制限: 最も一般的な症状で、首を動かすと痛んだり、特定の方向に動かしにくくなったりします。特に朝起きた時や、長時間同じ姿勢を続けた後に悪化することがあります。
- 腕や手のしびれ・だるさ: 首の神経が圧迫されることにより、腕や指先にしびれや脱力感が生じることがあります。これは神経根症状と呼ばれ、特定の神経が損傷している可能性を示唆します。
- 頭痛・めまい: 事故の衝撃で首の筋肉が緊張し、血流が悪くなることで頭痛が生じたり、自律神経の乱れからめまいが起こることもあります。むちうちによる頭痛でお悩みの方はこちら
- 吐き気・倦怠感: 自律神経の不調により、胃腸の不調や全身のだるさが現れることがあります。むちうちと自律神経の関係について。特に精神的なストレスが大きい場合にこれらの症状が顕著になることがあります。
- 耳鳴り・眼精疲労: これらも自律神経の乱れや首の血行不良に関連して現れることがあります。集中力の低下や睡眠障害を引き起こす原因にもなります。
- 精神的な症状: 事故のショックや長期化する症状により、不眠、イライラ、集中力低下、うつ状態になることも少なくありません。交通事故後の精神的なケアも非常に重要です。
これらの症状は事故直後ではなく、数時間後、あるいは数日経ってから現れることもあります。そのため、「事故直後はなんともなかった」と自己判断せず、必ず医療機関を受診することが大切です。症状が慢性化すると、治療がより困難になる傾向があるため、早期発見・早期治療が極めて重要です。
むちうちの治療:急性期からの適切なアプローチが鍵
むちうちの治療は、受傷後の時期(急性期、亜急性期、慢性期)によってアプローチが異なりますが、中でも急性期(事故直後から数週間)の適切な治療が最も重要です。受傷後2~3週間の間に専門家による適切な施術を受けることで、約7割の症状が緩和されるという見解もあります。
急性期には、まずは炎症を抑え、安静を保つことが基本となります。具体的には、患部の冷却や、必要に応じて頸椎カラーなどの装具を使用し、患部への負担を最小限に抑えます。その後、症状の緩和と共に、段階的にリハビリテーションや手技療法を開始します。早期に適切な治療を開始しないと、慢性的な痛みに移行したり、後遺症が残ったりするリスクが高まります。むちうちが治りにくい場合の詳細と早期治療の重要性からもわかるように、早期の受診と治療開始を強く推奨します。
早期に治療や施術を開始した場合、軽いむちうちであれば、3ヶ月~半年で症状が治まると言われていますが、適切な治療や施術を受けなかった場合、治療が長期化するケースや、残念ながら後遺障害が残るケースもあります。早期の段階で症状を正しく把握し、適切な治療を開始することが、後遺症を残さないための重要なポイントとなります。
むちうち治療で重要なこと:専門医・整骨院選びの視点
むちうち治療においては、病院(整形外科)や整骨院が交通事故によるむちうちの施術を得意としているかどうかが非常に重要です。交通事故の怪我は通常の怪我と異なり、保険会社とのやり取りや後遺障害の可能性など、専門的な知識が求められる場面が多いためです。専門的な知識と経験を持つ医療機関を選ぶことで、診断から治療、そして必要に応じた補償請求まで、一貫したサポートを受けることができます。
なぜ整骨院がむちうち治療に選ばれるのかについては、その手技による丁寧なアプローチや通院のしやすさが挙げられます。もちろん、整骨院と整形外科の併用も、医師の許可があれば可能です。両者の連携により、診断と治療の質が高まります。
むちうちの根本治療には、痛み止めなどの投薬だけでなく、手技による関節や筋肉へのアプローチが重要です。交通事故による筋肉や腱の萎縮や拘縮は深部に及ぶことが多いため、むちうち施術を得意とする、経験豊富な医療機関や整骨院を選ぶようにしましょう。特に、交通事故に特化した整骨院では、事故後の複雑な手続きに関するアドバイスも受けられる場合があります。
交通事故による症状は個人差が非常に大きいため、一人ひとりの症状やライフスタイルに合わせたきめ細かいケアを提供してくれる専門機関を選ぶことが、早期回復への近道となります。信頼できる治療院を見つけることが、精神的な負担を軽減し、治療に専念できる環境を整える上で非常に大切です。
お住まいの地域でむちうち治療に強い整骨院を探す
交通事故後の受診:早期受診が保険適用と因果関係の鍵
交通事故後、受診までに時間が空くと、交通事故と怪我の因果関係が否定され、保険会社からの治療費支払いが受けられなくなる可能性が非常に高まります。これは、時間の経過と共に事故以外の原因で症状が発生したと判断されるリスクがあるためです。
事故当日、または遅くとも3日以内(目安)に整形外科を受診し、適切な検査を受け、診断書を発行してもらいましょう。痛みや症状が遅れて出てくるむちうちの特性を考えると、この初期対応は非常に重要です。診断書は、後々の保険会社との交渉や法的手続きにおいて、最も重要な医学的証拠となります。
診断書に記載のない部位の怪我は、後から痛みが出ても交通事故との因果関係を否定される可能性があります。受診時には、痛みのある部位や違和感のある箇所、そしてその程度を医師に正確に伝え、記録に残してもらうようにしましょう。たとえ些細な症状であっても、全て医師に伝えることが肝心です。
また、整骨院での施術は整形外科との併用が基本的な流れとなります。整形外科医の診察を受けていない状態で整骨院に通院した場合、治療費の支払いを保険会社が認めないことがあります。整形外科医に整骨院との併用を口頭で許可を得ておくと、後の保険会社とのやり取りがスムーズに進み、安心して治療に専念できます。もし、保険会社とのやり取りに不安がある場合は、むちうち治療における弁護士特約の活用法を検討することも有効です。
むちうちの症状と治療:より詳しく理解するために
むちうちは交通事故で最も多く発生する外傷の一つであり、特に後方からの追突で首がむちのようにしなることで起こる頸部外傷の総称です。その症状は多岐にわたり、適切な治療を受けるためには、その分類を理解することが役立ちます。ご自身の症状がどの分類に該当するかを知ることで、より的確な治療を受けられるようになります。
むちうちの分類とそれぞれの主な症状
むちうち症は、主に以下の4つの分類に分けられ、それぞれ異なる症状を呈します。症状を正しく理解し、医師や柔道整復師に伝えることが、適切な治療に繋がります。
- 頚部捻挫型:最も一般的なむちうちで、首周りの筋肉や靭帯が損傷した状態です。首のだるさ、首から肩にかけての痛み、肩こり、頭痛、首の可動域制限などが主な症状として現れます。これらの症状は、安静と適切な治療で比較的早く回復しやすい傾向があります。
- バレー・ルー症候群型(頚部交感神経症候群):交通事故の衝撃で首の交感神経が刺激され、自律神経のバランスが崩れることで起こります。倦怠感、めまい、吐き気、耳鳴り、眼精疲労、発汗異常、不眠、集中力低下などが特徴で、首の痛みだけでなく、全身的な不調を感じることがあります。ストレスや疲労によって症状が悪化しやすい傾向があります。
- 神経根損傷型:頸椎から枝分かれする神経根が損傷したり圧迫されたりすることで起こります。首だけでなく、肩、背中、腕、肘、手指、後頭部など、神経の走行に沿って痛みやしびれが出現し、日ごとに痛みが強くなることがあります。特定の動作(首をひねる、腕を上げるなど)で症状が悪化する特徴も見られます。
- 脊髄症状型:むちうちの中でも最も重症な分類で、脊髄そのものが損傷を受けた状態です。首の痛みやしびれに加え、手足のしびれ、麻痺、歩行困難、排尿・排便障害などの症状が現れます。重篤な後遺症を残す可能性が高いため、専門的な治療が不可欠です。緊急性の高い状態であるため、速やかに高度な医療機関での診察が必要です。
むちうちの症状が現れる時期:遅発性症状に注意
むちうちは事故直後に症状が出にくい傾向があります。これは、事故による精神的な興奮状態やアドレナリンの分泌により、脳が痛みを一時的に感じにくくなるためです。多くの場合、数時間後から翌日、あるいは数日経ってから痛みや違和感、しびれなどの症状が現れ始めます。この遅発性症状はむちうちの大きな特徴であり、そのため事故直後に「なんともない」と感じても、決して油断は禁物です。必ず速やかに医療機関を受診し、経過を観察することが重要です。むちうちの症状が現れるタイミングと注意点について、さらに詳しくはこちらの記事をご参照ください。
むちうちでも病院に行くべき理由:保険適用と因果関係の証明
事故直後に自覚症状がなくても、後日症状が現れる可能性が非常に高いため、必ず医療機関を受診してください。事故から時間が経ってしまうと、交通事故と怪我の因果関係が医学的に認められにくくなり、結果として損害賠償や治療費の請求ができなくなる可能性があります。そのため、事故後1週間以内には、必ず病院で医師の診察と必要な検査を受けましょう。これにより、事故と症状の関連性を医学的に証明し、適切な保険適用を受けるための根拠を確立できます。
医療機関を受診しないことのリスク
事故直後に自覚症状がないからといって放置すると、以下のようなリスクがあります。これらのリスクは、治療の遅れだけでなく、経済的な負担にも繋がるため、十分な注意が必要です。詳細については、むちうち症状を放置するリスクもご参照ください。
- 治療費の自己負担: 後日痛みなどの症状が出たとしても、事故との因果関係が証明できなければ、治療費などを自費で負担することになります。保険会社からの支払いが認められないと、高額な医療費が全額自己負担となる可能性があります。
- 慰謝料がもらえない: 治療期間が短い、または受診が遅れた場合、保険会社から治療の必要性が低いと判断され、適切な慰謝料が支払われない可能性があります。事故による精神的苦痛への補償が受けられなくなるのは大きな損失です。
- 後遺症が残る可能性: 早期に適切な治療を受けなかった場合、症状が慢性化し、後遺症が残るリスクが高まります。一度慢性化すると、治療が非常に困難になることが多く、日常生活に支障をきたす可能性もあります。
これらのリスクを避けるためにも、交通事故に遭われた際は、症状の有無に関わらず、速やかに医療機関を受診することが最も重要です。むちうちが治りにくい場合の詳細と早期治療の重要性も併せてご確認ください。
むちうちの治療・施術:病院(整形外科)と整骨院それぞれの役割
むちうちの治療は、主に病院(整形外科)と整骨院で行われますが、それぞれに得意とする領域と役割があります。両者を適切に併用することが、より効果的な治療に繋がります。それぞれの専門性を理解し、症状に合わせて活用しましょう。
病院(整形外科)での治療:診断と医学的管理
病院、特に整形外科では、医師による専門的な診断と医学的な管理が行われます。病院でのむちうち治療(湿布・薬以外)については以下の通りです。
- 診察と検査:医師による触診、問診に加え、レントゲン、MRI、CTスキャンなどの画像検査により、骨折や神経損傷の有無、症状の原因を医学的に診断します。これは整骨院ではできない、病院の最も重要な役割です。画像検査は、客観的な証拠として後遺障害認定の際にも非常に重要になります。
- 薬物療法:痛みや炎症を抑えるための消炎鎮痛剤、筋肉の緊張を和らげる筋弛緩剤、神経痛に対する薬などが処方されます。症状の急性期においては、薬物療法による痛みのコントロールが重要です。
- 牽引療法:首を物理的に引っ張ることで、頸椎への負担を軽減し、神経の圧迫を和らげる治療です。
- リハビリテーション:理学療法士の指導のもと、運動療法や物理療法(温熱、電気治療など)を通じて、機能回復を目指します。専門的なリハビリは、再発防止や機能改善に不可欠です。
- 診断書・後遺障害診断書の発行:保険請求や後遺障害認定に不可欠な医学的証明書を発行します。これらの書類は、適正な補償を受けるために絶対的に必要です。
病院は、怪我の正確な診断と、重篤な病態を見逃さないための初期対応、そして法的手続きに必要な書類作成の点で不可欠です。定期的な診察で症状の経過を記録してもらうことも、後遺症が残った場合の重要な証拠となります。
整骨院での施術:手技と機能回復に特化
整骨院では、柔道整復師という国家資格を持つ専門家が施術を行います。なぜ整骨院がむちうち治療に選ばれるのかは、その手技を中心としたきめ細やかなアプローチにあります。
- 手技療法(マッサージ・整体・骨盤矯正など):柔道整復師が手を使って、硬くなった筋肉をほぐし、関節の動きを改善し、身体の歪みを整えることで、痛みの緩和と機能回復を促します。特に、レントゲンでは映らない筋肉や靭帯の損傷に対して、直接アプローチできるのが強みです。
- 理学療法:個々の症状に合わせたストレッチや運動指導を通じて、筋力回復や柔軟性の向上を図ります。日常生活での姿勢指導なども行い、再発防止に努めます。
- 物理療法(電療法・温熱療法など):電気刺激や温熱、冷却などを利用して、痛みや炎症の軽減、血行促進を行います。これにより、自然治癒力を高め、回復を早める効果が期待できます。
整骨院は病院と比較して待ち時間が短く、夜遅くまで営業している院も多いため、仕事帰りなどにも通いやすいという利点があります。そのため、病院での診断・経過観察と並行して整骨院に通院し、より専門的な手技療法を受ける方が多くいらっしゃいます。症状が改善してからも、再発予防のためのメンテナンスとして通院を継続することも可能です。
むちうちの治療にかかる費用:加害者への請求と保険適用
交通事故の被害者は、事故によって生じた損害を加害者に対して請求する権利があります。これには治療にかかる費用だけでなく、様々な損害が含まれます。これらの費用は、主にむちうち治療で利用できる自賠責保険や任意保険によって補償されます。適切な補償を受けるためには、請求できる項目を正確に把握しておくことが重要です。
交通事故の被害者が加害者に対し請求できる主な費用は以下の通りです。
- 治療費:病院での診察、検査、投薬、手術、リハビリテーション、整骨院での施術など、怪我の治療にかかった全ての費用。これには、装具や医療器具の費用も含まれる場合があります。
- 通院交通費:医療機関への通院にかかった交通費(公共交通機関運賃、タクシー代、自家用車のガソリン代・駐車場代など)。領収書や記録を保管しておくことが大切です。
- 休業損害:怪我の治療のために仕事を休んだことによって生じた収入の減少分。会社員だけでなく、自営業者や主婦の方にも認められる場合があります。
- 入通院慰謝料(傷害慰謝料):怪我による精神的苦痛に対して支払われる慰謝料。治療期間や通院日数によって算出されます。精神的苦痛は目に見えないため、治療の継続と適切な通院が慰謝料算定の根拠となります。
- 後遺障害慰謝料:治療を続けても症状が改善せず、後遺障害が残ってしまった場合に、その精神的苦痛に対して支払われる慰謝料。後遺障害等級によって金額が異なります。
- 逸失利益:後遺障害が残ったことにより、将来得られるはずだった収入が減少したことに対する補償。年齢や収入、後遺障害の程度に基づいて計算されます。
むちうちで後遺障害が認定されるのは難しいと言われることがありますが、適切な治療と医師の診断書、そして弁護士のサポートがあれば、症状によっては認定される可能性もあります。特に、後遺障害認定には医学的な証拠と法的な知識が不可欠です。むちうち治療における弁護士特約の活用法も検討し、専門家のサポートを得ることが望ましいでしょう。
むちうちで後遺障害は可能か?:認定基準と獲得のポイント
むちうちは軽度の外傷に分類されることが多いですが、中には症状が長期化したり、神経症状が残存したりして、後遺障害に認定されるケースも存在します。後遺障害の認定を受けることで、適切な慰謝料や逸失利益の補償を受けることができます。弁護士に相談することで、専門的な視点から手続きを進め、慰謝料が増額される可能性もあります。むちうちで後遺障害が残った場合の慰謝料請求について、より詳しくはこちらの記事もご参照ください。
むちうちの後遺障害と障害等級:具体的な症状と認定基準
むちうちの後遺障害として認定される可能性のある症状には、首や頭部のしびれ、慢性的な痛み、耳鳴り、吐き気、めまい、そして自律神経症状(バレー・ルー症候群など)があります。これらの症状は、事故後数週間後や翌日など、比較的遅れて現れることが多いのが特徴です。特に神経症状の有無が後遺障害認定の重要なポイントとなります。
むちうちによる頚部痛や神経症状などで後遺障害認定される可能性は、決して高くはありませんが、適切な医学的証明があれば十分にあります。特に、症状の持続性、治療の継続性、そして画像診断による客観的所見が認定に大きく影響します。
むちうちで高額な慰謝料を受け取るのは難しい?:等級と慰謝料の関連性
むちうちは、一般的に回復する確率が高く、深刻な後遺障害が残るとは考えづらいと判断されがちであるため、後遺障害として認定を受けづらい傾向があります。ただし、これはあくまで一般的な傾向であり、個々の症状や医学的所見によっては例外的に認定されるケースも存在します。特に、MRIなどの画像検査で神経の圧迫や損傷が確認できる場合は、認定の可能性が高まります。
むちうちで認定される可能性のある後遺障害等級は、主に7級(約500万円前後)、12級(約100万円前後)、14級(約40万円前後)があります(これは慰謝料の目安であり、逸失利益は別途計算されます)。等級が高いほど、その障害の程度が重いと判断され、慰謝料も高額になります。後遺障害等級は、労働能力の喪失率や精神的苦痛の度合いを数値化したものであり、この等級が後の補償額を大きく左右します。
むちうちの場合、後遺障害12級(局部に頑固な神経症状を残すもの)または14級(局部に神経症状を残すもの)として認定されることが多いですが、脊髄損傷を伴うような稀なケースでは、より重い7級として認定されるケースも存在します。
後遺障害12級と14級では、慰謝料に大きな差があり(弁護士基準で250万円以上の差が出ることも)、認定される等級によって受け取れる補償額が大きく変わるため、適切な等級認定を目指すことが非常に重要です。そのためには、症状の一貫性、医師の診断書の内容、そして適切な治療の継続が不可欠となります。
むちうちの証拠:MRIなどの客観的検査の重要性
むちうちで適切な慰謝料を受け取るためには、交通事故との因果関係、そして症状の存在を医学的に証明する客観的な証拠が不可欠です。中でもMRIなどの画像検査は、神経の圧迫や損傷を直接確認できる重要な証拠となります。MRIで脊髄や神経の圧迫、靭帯の損傷などが客観的に確認できれば、後遺障害認定の可能性が格段に高まります。MRIは、レントゲンでは捉えきれない軟部組織の状態を詳細に映し出すことができます。
MRI以外にも、ジャクソンテスト、スパークリングテスト、腱反射テストといった神経学的検査や、筋力テスト、可動域測定なども、むちうちによる神経症状を評価する上で重要な所見となり得ます。これらの検査結果を医師が診断書に詳細に記載することが、後遺障害認定の確率を高める上で非常に重要です。医師に症状を正確に伝え、必要な検査をきちんと受けるようにしましょう。
交通事故との因果関係:証明の重要性
どれほど重いむちうち症状があったとしても、その症状が交通事故によって引き起こされたものであるという因果関係が医学的に証明されない場合、治療費や慰謝料を受け取るのは非常に難しいです。保険会社は、因果関係が不明瞭な場合、治療費の支払いを拒否することがあります。
そのため、事故後すぐに病院を受診し、医師にすべての症状を伝え、それを診断書に正確に記載してもらうこと、そして症状が改善するまで途切れることなく治療を継続し、定期的に医師の診察を受けることが何よりも大切です。事故直後からの症状の一貫した記録が、因果関係を証明する上で重要な要素となります。
後遺障害認定のために:整形外科医選びの重要性
むちうちの治療、そして後遺障害認定を受けられるかどうかは、治療を担当する整形外科医の判断が極めて重要です。特に交通事故に関する診断書作成経験が豊富で、後遺障害認定に必要な医学的知見を持つ医師を選ぶことが望ましいです。交通事故の案件に慣れた医師は、保険会社とのやり取りや後遺障害認定のポイントを理解しているため、適切な診断書を作成してくれる可能性が高まります。
もし現在の主治医の診断や治療方針に不安がある場合は、遠慮なくセカンドオピニオンを検討しましょう。複数の医師の意見を聞くことで、より適切な治療方針や診断の可能性を探ることができます。また、弁護士を選ぶ際も同様に、交通事故案件に強い専門の弁護士を選ぶことが、適切な補償獲得への大きな助けとなります。弁護士は、医学的な証拠を法的に有効な形で活用するためのサポートをしてくれます。
むちうちで後遺障害を獲得するためのおさらいと、お困りの方へ
むちうちは軽度の症状に分類されることが多いですが、中には重い症状が残り、後遺障害認定されることもあります。適切な治療と補償を受けるためには、以下のポイントが重要です。
- 早期受診と継続治療: 事故後速やかに整形外科を受診し、症状を正確に伝え、途切れることなく治療を継続すること。これが、事故との因果関係を証明し、適切な補償を受けるための大前提です。
- 病院と整骨院の併用: 医師の許可を得て、医学的診断を行う病院と、手技による専門施術を行う整骨院を併用することで、治療効果を高める。それぞれの専門性を活かした治療が、早期回復に繋がります。
- 客観的証拠の確保: MRIなどの画像検査で、症状の医学的根拠を明確にすること。これにより、保険会社や裁判所に対して、症状の存在を具体的に示すことができます。
- 専門家の活用: 交通事故に詳しい整形外科医と弁護士を選ぶことが、納得のいく補償を受けるために最も重要です。特に、弁護士は複雑な法的手続きや保険会社との交渉を代行し、患者様の負担を軽減してくれます。
この情報が、交通事故によるむちうちでお悩みの方々のお役に立てれば幸いです。交通事故後の対応は、初期の行動が非常に重要となりますので、焦らず、しかし迅速に適切なステップを踏んでいきましょう。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、法的助言を提供するものではありません。具体的な法的問題については、必ず弁護士にご相談ください。
むちうちでは後遺障害の認定はなかなか難しいと言われることもありますが、症状は患者様により千差万別であり、適切な手続きと医学的証明があれば後遺障害が認定される場合もございます。
交通事故の整骨院通院に関してわからない事がありましたら、詳しく解説させていただきますので、どうぞお気軽にサポートセンターまでお電話ください。
また、当サイト経由での予約・通院で最大5万円の通院支援金を進呈しております。

