むちうちの治療期間と治療費打ち切りへの対処方法
最終更新日 2024年9月11日
「むちうちの症状は、何ヶ月も続くことがあるの?」
「まだ痛みがあるのに、保険会社から治療費を打ち切ると言われた!どうすればいい?」
「入院や通院で慰謝料は、どう計算するの?」
このような疑問にお答えすべく、こちらのページでは、「むちうちの治療期間」について分かりやすくまとめてみました。
むちうちが治るまでの期間をはじめ、むちうちの対処法や慰謝料の計算方法、打ち切りを打診された際の対策などをご紹介しています。
ぜひ最後までお読みになり、悩みの解決に役立てていただければと思います。
目次
むちうちの治療期間の目安
むちうちの治療期間は、およそ「2~3ヶ月」ほどとされています。
外傷による炎症がおさまるのは、数日から1週間程度です。
しかし、痛みで動かせなかったことによる筋肉の緊張や血流の悪化、事故時の神経損傷などで、症状が3ヶ月ほど続くことが考えられます。
また、ストレスや不安といった精神面が影響して、痛みが長引くことも考えられています。
いずれにせよ、むちうちのはっきりとしたメカニズムは分かっていません。
治療期間には個人差がある
上記に挙げたのは、あくまでも平均的なむちうちの治療期間です。
患部の状態によっては、1ヶ月程度で回復する場合もあります。
一方、重症であったり、きちんとしたケアができていなかったりする場合は、6ヶ月以上症状が改善しないこともあります。
むちうちの症状には様々な種類がある
むちうちとは、後方や側方からの追突によって頭が大きく動かされることで発生する、首の症状の総称です。
負傷時に首がムチのようにしなるため、「むちうち」と呼ばれています。
むちうちはケガをしたきっかけを表す言葉であり、正式な負傷名は「外傷性頸部症候群」「頚椎捻挫」などになります。
むちうちの症状の種類について
むちうちは、痛めた部位によって次の5種類に分けられ、症状も変わってきます。
頚椎捻挫型
首が前方や後方、側方に強く伸ばされることで、頚椎周辺の靭帯や筋肉を損傷した状態です。
むちうちの8割程度が、頚椎の捻挫だといわれています。
- 首の痛み
- 首の動かしにくさ
- 首や肩、背中にかけての張り感、重だるさ
- 頭痛
以上のような症状がみられることがあります。
また、頚椎捻挫に加えて、以下のタイプが同時に起こっているケースもあります。
神経根症状型
頚椎のズレや内出血による腫れなどで、神経根(知覚神経、運動神経が束になった箇所)が圧迫された状態です。
首の痛みとともに、腕のしびれ、放散痛、力の入りにくさといった症状がみられることがあります。
脊髄症状型
背骨の中を通る、脊髄が損傷した状態です。
手足のしびれ、痛み、歩行障害などがみられることがあります。
バレー・リュー症候群型
事故の衝撃によって、頚椎周辺の交感神経が刺激された状態だと考えられています。
頭痛や耳鳴り、めまい、倦怠感、眼精疲労など自律神経失調症のような症状がみられることがあります。
脳脊髄液減少症
脳や脊髄を覆っている硬膜が破れて、脳脊髄液が漏れ出てしまった状態です。
起立性の頭痛が主な症状で、その他には視覚障害、聴覚障害といった不調がみられることがあります。
むちうちの対処法
交通事故の衝突や追突によって首を痛めてしまった場合は、どのように対処すれば良いのでしょうか?
むちうちは冷やすか温めるどちらが良いの?
事故直後の炎症が強く出ている「急性期」と、痛みや炎症症状が落ち着いた「慢性期」によって、冷やす、温めるの対処法が変わってきます。
急性期の対処法(冷やす)
急性期の対処法は、「患部の冷却」と「安静」が大切です。
アイスノンや氷水の入った袋をタオルに包み、熱っぽくなっている箇所に当てて冷やします。
しかし、冷やしすぎになると患部の緊張を強めたり、血行不良を起こしたりするおそれがあります。
10分間ほど冷やしたら一度冷却をやめて、様子をみるようにしましょう。
また、急性期はなるべく患部を安静に保ってください。
無理をすると、靭帯や筋肉、血管などの損傷を悪化させる可能性があります。
急性期の炎症は、一般的に受傷後3日~1週間ほどで落ち着いてくる場合が多いです。
慢性期の対処法(温める)
熱っぽさや患部の強い痛みがおさまりましたら、今度は温めるようにしてください。
「湯船に浸かる」「首から肩、背中にかけてホットパックや蒸しタオルを当てる」といった方法があります。
温めることで、頚椎周辺の緊張がやわらぎ、血行も促進されます。
また、できる範囲で日常生活動作やストレッチを行い、徐々に首を動かすようにしてください。
痛みがあるからといって安静にしすぎると、症状を長引かせる可能性があります。
自分でできるむちうちの対処法は?
上述したように、急性期、慢性期と状態に合わせたケアをおこなってください。
また、自分でできる対処には、次のような方法もあります。
タオルで首を固定する(急性期)
痛みが強い場合、頸部の安静を保つために、タオルで首を固定する方法があります。
スポーツタオルを横に四つ折りにします。
ヘアゴムや輪ゴムを巻いて、タオルが広がらないようにしましょう。
そして、四つ折りにしたタオルを首に巻いて、顎の位置が固定できるようにします。(巻いているゴムにタオルの端を通すと、タオルの位置を固定できます)
強く巻いて、首を締め付けないようにご注意ください。また、長期間の固定も柔軟性の低下を招きます。
タオルによる固定は、痛みが強い時期に限るようにしましょう。
病院に行く
軽度の場合であれば、自分でも対処が可能です。
しかし、痛みが強く、日常生活に支障が出る場合は病院の医師にご相談ください。
消炎鎮痛剤の含まれた湿布や薬を処方してもらうことで、痛みの緩和を図れます。
整骨院・接骨院に行く
慢性期に入れば、整骨院・接骨院でもむちうちの施術が受けられます。
手技によるもみほぐしや電療法、骨格の矯正などによって、症状の早期改善を図れます。
むちうちの施術を整骨院・接骨院で受ける場合は、医師の同意をもらうようにしてください。
また、保険会社の方にも、あらかじめ了承を得ておくようにしましょう。
医師の同意や保険会社の了承を得ずに併用していた場合は、施術に対しての補償を受けられない可能性があります。
むちうちの治療費は誰が負担するのか?
むちうちの症状は、平均で2~3ヶ月間ほど継続するため、治療や施術による経済的な負担が気になる方も多いのではないでしょうか?
基本的には、加害者側の保険会社が費用を負担してくれるため、病院や整骨院・接骨院でかかる窓口金は発生しません。
※患者様自身で保険会社に請求する場合は、一旦窓口金を支払って、その後返金という形になるケースもあります。
保険で保障される内容
交通事故によるむちうちでは、次の項目が自賠責保険や任意保険から補償されます。
保険によるむちうちの補償
- 病院の治療費(検査、投薬)
- 接骨院・整骨院の施術費(固定、手技療法、運動療法、電気療法)
- 診断書の発行手数料
- 通院にかかった交通費
- 通院や体調不良によって仕事ができなかった場合の休業補償(一部)
などです。
通院頻度は慰謝料に関係
交通事故でむちうちになった場合、治療費や施術費だけではなく、慰謝料も支払われます。
慰謝料とは、入院や通院による精神的な苦痛に対する補償のことです。
基本的には通院日数や通院回数によって、支払われる慰謝料が計算されます。
また慰謝料の算定基準には、「自賠責基準」「任意保険基準」「弁護士基準」の3つがあり、受け取れる金額も変わってきます。
一般的には「自賠責基準<任意保険基準<弁護士基準」の順に慰謝料の金額が高くなる傾向にあります。
自賠責基準
自動車損害賠償保障法(自賠法)で定められた基準です。
自賠責基準の入通院慰謝料
以下の2つの計算方法を用い小さい方が採用されます。
- 4,300円×全治療期間の日数
- 4,300円×(実通院日数の2倍)
任意保険基準
損害額の合計が120万円以下の場合は自賠責基準と同じ金額に設定されており、120万円を超えた場合は各保険会社が独自で定めた基準が採用されるのが一般的です。
弁護士基準(裁判基準)
弁護士が裁判や保険会社との交渉をおこなう際に利用される基準です。
弁護士基準では通称赤い本と呼ばれている「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」を基準に算定されます。
治療費が打ち切りになる場合がある
むちうちの平均的な治療期間である2~3ヶ月あたりで、保険会社の方から治療費の打ち切りを打診されるケースがあります。
しかし、むちうちの症状がその時点でまだ残っている場合は、どう対処すれば良いのでしょうか?
保険会社から治療費打ち切りを打診された時の対処法
具体的な対処法としては、以下の選択肢が考えられます。
医師に治療の必要性を確認する
「今後も治療が必要なのか」「あとどれくらいで完治が目指せるのか」といった点を医師にご確認ください。
治療の必要性と今後の見通しがわかれば、保険会社も治療費を支払いやすくなります。
むちうちは他覚的な判断が難しいため、気になる症状がありましたら、些細なことでも必ず医師に伝えるようにしましょう。
弁護士に治療期間の延長交渉を依頼する
弁護士に依頼して、補償の延長を保険会社に交渉してもらう方法があります。
また、後ほどご紹介する後遺障害認定を申請する際にも、弁護士に資料収集や提出といった手続きを代わりに行ってもらうと、精神的な負担を軽減できるでしょう。
症状固定後、後遺障害認定を申請する
「これ以上治療を続けても、改善が見込めない」といった症状固定の状態になると、補償が打ち切りとなります。
医師の診断書をはじめとした必要書類を提出し、後遺障害に認定されれば、等級に応じた後遺障害慰謝料や損失利益などを請求できます。
しかし、通院日数が少ない場合などは、後遺障害認定を認めてもらえない可能性が高くなるため、定期的に病院へ通院しておくことが大切です。
まとめ
- むちうちの治療期間は、およそ「2~3ヶ月」である
- むちうちは、種類によって症状が異なる
- むちうちは、急性期と慢性期で温める・冷やすといった対処法が変わる
- 交通事故のむちうちでは、入院や通院に対する慰謝料が支払われる
- 治療費が打ち切られそうな場合には、医師や弁護士に相談するといった対策がある
交通事故によるむちうちは、保険会社によって途中で治療費の打ち切りを打診されることがあります。
しかし、むちうちは後遺症も残りやすい外傷のため、「完治するまで」「症状が固定するまで」はしっかりと治療や施術を続けることが重要です。
保険について疑問点や不安な点などがありましたら、早めに医師や弁護士に相談してみてください。
また、医療機関だけではなく、むちうちの早期改善には、整骨院・接骨院での施術も有効です。
むちうちの症状でお困りの方は、当センターへお気軽にご連絡ください。