高速道路と一般道での事故における過失割合の違い
最終更新日 2024年9月11日
交通事故が発生するのは、一般道だけではありません。高速道路でも事故は発生しています。
高速道路と一般道の事故では、それぞれ過失割合も異なります。高速道路での事故は一般道と違い、歩行者の過失割合は重くなります。他にも割り込み事故の場合は直進車の過失割合が大きくなる傾向があります。
しかし、例外もあります。割り込んできた方の車両の落ち度が大きい時などは、直進車の過失割合がゼロになる可能性があります。
目次
高速道路事故での歩行者と駐停車の過失割合
高速道路は歩行者の過失割合は重い
高速道路での事故の過失割合例は、次の通りです。
- 高速道路は、歩行者の侵入は原則禁止。万が一事故に遭っても、歩行者の過失割合は80%が基本。
- 高速道路は、駐停車する事が禁じられている。停まっていると過失が重たくなる。
- 合流地点で発生した事故は、合流してきた車の過失割合は70%が基本。
1点目の歩行者の過失割合は一般道と大きく異なります。一般道の場合は、歩行者の過失割合は軽いです。それは弱者救済の原則があるからです。
しかし高速道路では、その限りではありません。車両が高速運転していますので、その道に侵入する事自体禁じられています。上述の歩行者の過失割合が80%は、一般道ではまずあり得ません。高速道路での事故の特徴の1つです。
トラブルで降車していた時の過失割合
何かのトラブルが発生していた時は、歩行者の過失割合は若干軽い傾向があります。
例えば高速道路を走行中に車から煙が出てきて、やむを得ず降車する事になりました。そして後続車が衝突してきた時は、歩行者の過失割合は40%という事例があります。
ただし、歩行者が乗っていた車との距離に左右されます。歩行者が車から離れると、過失割合は大きくなるのです。
高速道路で停車中の追突事故の過失割合
高速道路では、追突事故も多発しています。
一般道での追突事故とは違い高速道路の場合は、停車していた側の過失割合がゼロになるとは限りません。高速道路で駐停車する事自体禁じられていますので、停まった時点で過失割合が付いてしまう事もあります。たとえ駐停車した側に落ち度が全くなくても、過失割合が付く事があります。
例えば高速道路の本線に車が止まっていて、後ろから追突されたとします。その時の過失割合例は以下の通りです。。
- 停まっていた側に過失があるなら、駐停車の過失割合は40%
- 停まっていた側に過失がなければ、過失割合は20%
- 停めていた側が停止表示器材を使っていれば、過失割合はゼロ
一般道の場合、追突してきた側の過失割合が100になる事が多いですが、高速道路ではそうではありません。
その他の追突事故での過失割合
そして高速道路での追突事故の状況は多彩です。以下の例のように、状況に応じて過失割合の数字は変わってきます。
- 道路の端に停車していた時は、追突された側の過失割合はゼロ
- 理由も無く急ブレーキをかけていた時は、追突された側は50%
- 渋滞していた道を走っていて、後ろから急に追突された時はゼロ
交通事故の状況により過失割合は異なります。上記に示した過失割合は一例です。
その他にも、車両の速度に応じて過失割合の数字は変わります。スピード違反をしていれば、もちろん過失割合は加算されます。
高速道路での合流と追い越しの過失割合
合流箇所で合流してきた車の過失割合は70%
高速道路は、道が合流している事があります。
高速道路は左側通行になっていますが、左側から合流してくる道があり、そこから車が入ってくる事があります。冒頭で少し触れたように、合流してきた側の車の過失割合は、過去の事例では70%程度です。
つまり高速道路で直進していて、左側から車が合流してきた際の交通事故の場合は、合流した車の過失割合は70%です。
決して100ではありません。直進車としても、前方や左側に注意する必要があるからです。
高速道路での追い越し事故の過失割合について
また高速道路には、追い越し車線もあります。日本の高速道路では左側通行が基本ですので、追い越し車線は右側にあります。
例えば、右側から追い越してきた車と、左車線を走行していた車が衝突したとします。その場合、右側の車の過失割合例は70%です。
上述の合流地点と同じく、ゼロではありません。左車線で直進していた車も、右から車が追い越してくることを想定する必要があります。
ただし左側の車が右側に侵入した時は少々違います。本来は右から左に追い越す事になっていますから、左車線から右車線に侵入する事自体が過失であるとみなされます。
したがってこのような場合は、左車線の車の過失割合例は80%程度です。右車線の車はゼロではありません。
高速道路での過失割合がゼロになるケース
高速道路での事故で過失割合がゼロになる事はあるのか?
上記のような過失割合の数字になりますから、高速道路での事故はゼロになるケースはあまり多くありません。上述の追い越しや合流時の事故の過失割合は、いずれも片側が20%以下ということは少ないです。
しかし、例外はあります。加害者の車の落ち度が大きい時などは、過失割合の数字がゼロになる可能性があります。
例えば、加害者がスピード違反をしていた場合です。加害者の車の本来の過失割合は90%であり、なおかつスピード違反していた時などは、100%になる可能性があります。よそ見運転していた時や飲酒運転していた時も同様です。
高速道路での事故の過失割合がゼロになりづらい理由
加害者に大きな落ち度があった場合でも実際には、被害者の過失割合が0%になる確率は低いです。
そもそも走行中は車間距離を広く取る必要があります。車と車が離れていれば、追突事故など回避できるためです。ドライバーは、常に車間距離を意識しながら運転する義務があります。その義務を怠っていると、過失割合はゼロになりづらいです。
だろう運転は事故の原因とよく言われています。多くの運転手は「急に車線を変更してくる事はないだろう」と考えていますが、予測に反して変更してくる事はあります。ですので、高速道路では「いつ車線変更してきてもおかしくない」と考えながら、運転しなければなりません。
過失割合が疑問な時は弁護士に相談
上述の過失割合に関して、被害者は納得できない事があります。加害者側の保険会社から提示される過失割合も、必ずしも妥当な数字とは限りません。
もし高速道路での交通事故の過失割合で困った時は、法律事務所に相談してみるのが無難です。交通事故に精通した弁護士なら、過失割合に関する判断も下してくれますし、加害者側の保険会社との交渉も代行してくれます。
慰謝料が増額されるケースもあるので、検討してみると良いでしょう。
高速道路での事故の過失割合のおさらい
高速道路と一般道では交通ルールが異なります。
人の侵入が禁じられていますし、車を駐車する事も禁止されているので、過失割合も一般道での事故とは違います。過失割合がゼロになりづらいのが、高速道路の特徴の1つです。
交通事故に遭遇しないために、様々な状況を想定しながら高速道路を走らせる必要があります。もしも過失割合が納得できない時は、やはり法律事務所で相談してみる方が良いでしょう。