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    交通事故で軽症だった場合の補償や慰謝料について

    2022.05.12
    交通事故で軽症だった場合の補償や慰謝料について

    最終更新日 2024年9月11日

    交通事故で負傷した時の症状は人それぞれ異なります。言うまでもなく、ケガは軽症であることに越したことはありません。

    そうした軽症の場合、治療期間などの関係から治療費は安く抑えられることとなりますが、慰謝料はどうなるのでしょうか。

    そこで今回は、軽症になった時に支払われる賠償金の項目や相場金額に関してまとめましたので、ご参考下さい。

    交通事故の慰謝料と弁護士に相談するメリット

    交通事故の慰謝料と示談金の違い

    交通事故事件において支払われる「慰謝料」とは、賠償金の費目の1つです。

    賠償金には、慰謝料以外にも次のような様々な費目が含まれます。

    • 治療費
    • 休業損害
    • 通院交通費
    • 傷害慰謝料(入院及び通院慰謝料)
    • 後遺障害逸失利益 ※原則後遺障害等級認定がある場合のみ。
    • 後遺障害慰謝料 ※同上

    なお、本稿は軽症の場合を想定していますので、後遺障害等級認定はなされないものと考え、以下での「慰謝料」とは傷害慰謝料を指すものとします。

    慰謝料の3つの基準と金額の違い

    慰謝料の算定基準には、以下のような3つの基準があります。

    • 自賠責基準
    • 任意保険基準
    • 裁判(弁護士)基準

    通院期間や通院頻度などにより前後はありますが、これら算定基準のうち、一般的に最も安いのが自賠責基準、次いで任意保険基準、そして最も高額となるのが裁判(弁護士)基準です。

    例えば、通院頻度が1か月に10日程度の場合、自賠責基準弁護士基準では、実に3倍近い差が出てくるケースもあり得ます。

    では、算定基準はどのように使い分けられるのでしょうか。

    加害者加入の自賠責保険は、常に自賠責基準で慰謝料を算定します。ただ、その金額は前述のとおり安くなることが多いため、加害者加入の任意保険会社は、自賠責基準よりもわずかに高い任意保険基準での算定を行い、慰謝料を提示してくることが多いです。

    一方で、被害者が弁護士委任した場合は、最も高い裁判基準(弁護士基準)での交渉が可能です。
    「裁判基準」というのは、弁護士が介入する場合は裁判の可能性があり得るという点で、裁判時の基準を採用するのが運用となっているからです。ただし、裁判基準では算定するものの、示談とは加害者側・被害者側お互いの譲歩が前提になっていることから、示談交渉時は裁判基準の80~90%で示談がなされることが通例です。

    交通事故の怪我が軽症の時でも弁護士や専門家に相談する

    軽症の場合、自覚症状が乏しいため、医師に対し自分で症状を伝えることが困難な場合があります。

    特にむちうちなどは、事故直後には自覚症状が見られない事があったり、日によって症状が異なる場合も多く、症状の具体的内容を伝えるのは難しい事も多いです。

    他方で、レントゲンやCTなどの検査を受けてみても、画像上の異常が見つからないことも珍しくありません。

    そのため、軽症時こそ交通事故に強い弁護士に相談すれば、どのように医師に症状を伝えるべきか非常に参考になります。

    そして、医師への伝え方によって通院期間などに影響が生じ、慰謝料の金額が増額することもありますので、軽症だが慰謝料が少し心配な方は、交通事故に精通した弁護士への依頼も検討してみると良いでしょう。

    後遺障害の慰謝料と逸失利益

    後遺障害の慰謝料はどれぐらいか?

    事故直後は軽症だと感じていたとしても、意外にも痛みやだるさ、違和感などが頑固に残存することも珍しくありません。
    そうした場合は、その症状の程度にもよりますが後遺障害が認定される可能性も0ではありません。特に痛みに強い方などは、客観的な異常所見が認められる場合は、それほどの自覚症状を感じていないとしても、後遺障害が認定されることはあり得ます。

    その後遺障害とは、14段階の等級に分かれており、1級が最も重く、14級が軽いとされています。しかし、後遺障害の認定がされない(非該当に終わる)ケースの方が多いことを考えると、14級でも認定されれば相当程度の症状が残存したと見ることはできます。

    そのため、当初軽症と感じている場合は、後遺障害等級が認定されたとしても14級であることが一般的でしょう。

    この後遺障害等級認定があれば、傷害慰謝料とは別途、さらに後遺障害慰謝料が賠償金として支払われます。この後遺障害慰謝料も、傷害慰謝料と同様に、自賠責基準、任意保険基準、裁判基準の3つの算定基準があり、弁護士委任をすると裁判基準での示談交渉が可能です。
    後遺障害14級の場合、裁判基準であれば100万円前後(原則最大110万円)が見込めます。

    軽症の場合の逸失利益はどうなるか?

    後遺障害が認定された場合には、後遺障害慰謝料のほか、逸失利益も支払われます。逸失利益とは、後遺障害による労働能力の喪失に対する補償のことで、交通事故がなければ得られていたはずの収入を補填する賠償金をいいます。
    つまり、事故によるケガで残った症状が原因で、収入が減ってしまった(または減る可能性がある)という理由で支払われる賠償金です。

    軽症でも治療費や休業損害の支払いは可能

    前述のとおり、賠償金の費目は慰謝料以外にも様々あります。

    例えば、治療のために通う病院への通院交通費は、電車やバスなどの交通機関で移動すればその運賃が、自家用車で通院する場合はガソリン代が支払われます(ただし、ガソリン代は1kmあたり15円で算定することが通例)。タクシーを利用した場合は、症状にもよりますが軽症の場合は、タクシー利用の必要性が怪しいと支払いがされないリスクがありますので、事前に保険会社か弁護士へ相談しましょう。
    また、タクシーを使用される場合は必ず領収証などの使用日時や金額がわかる資料を保管しておきましょう。

    また、休業損害も支払われます。たとえ軽症でも働けなくなってしまう事もあるからです。それほど痛みが強くない時でも、危険な作業や身体的負担が大きく無理ができない仕事などの場合は、ケガが原因で休業すると、その分の休業損害が支払われます。ただし、休業の必要性が争いになることも多いので、加害者側の保険会社が休業損害の支払いを渋るような場合には、お早めに弁護士への相談をおすすめします。

    まとめ

    症状があまり重くなければ、治療費や慰謝料などを請求するのは難しい、または安くなってしまうのではとご不安に感じられるかもしれません。しかし実際には、軽症だとしてもきちんと医療記録に残したり、症状が長く残存する可能性を見越して、早め早めに対策を打っておくことが非常に重要です。

    以上を踏まえて、軽症だと感じていたとしても、ご自分1人だけで悩まずに交通事故に精通した弁護士に一度相談をしてみてはいかがでしょうか?

    記事監修

    弁護士 渡邉貴士

    弁護士 渡邉貴士
    大阪弁護士会所属

    経歴:
    京都大学法学部卒業
    京都大学法科大学院修了

    趣味:
    プロ野球、温泉、音楽(ミスターチルドレンが好きです)

    実績:
    弁護士登録直後より交通事故案件に注力。中でもケガをした患者様の案件に特化しており、人身事故の相談件数は年間100件を超える。
    これまで整骨院や損保代理店での社内研修も多数実施して、連携をとって交通事故患者様のサポートを行う。