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交通事故の後に行われる実況見分に不満がある時の対処法
最終更新日 2024年9月11日
人身事故が起きると、警察は実況見分を行います。事故現場の詳細な状況を確認し、その状況をまとめた書類を作成するのです。事故の見取図なども作成されます。ただ交通事故の被害者によっては、その調査に立ち会えない事があります。
それでは被害者にとって不利な状況になってしまい、大変困ります。実況見分はやり直ししてもらうのも困難なのですが、実況見分に不満を感じた時は交通事故の専門家に相談してみるのが一番良いです。
目次
人身事故が発生した後の実況見分に立ち会えなかった
交通事故の実況見分に立ち会えない理由は色々あります。
中でも一番多いのが交通事故の被害にあい、すぐに救急搬送されるパターンです。
実況見分調書には何が記載されるか
交通事故には、人身事故と物損事故の2種類あります。
後者の物損事故の場合、冒頭で触れた実況見分は原則行われません。報告書のみ作成されるケースが多いです。
人身事故の場合は、かなり詳細な内容が確認されるのです。実況見分の書類には、以下のような内容が書かれます。
- 日時
- 車のナンバー
- 場所
- 実況見分の立会人とその説明
- 人家や見通しや道路の幅など、現場の詳細な状況
- 大きさや番号や年式など、車の詳細な情報
- 天気
- 実況見分の目的や経緯など
この他にもブレーキを踏んだり、ハンドルを切った場所なども記録されます。
それを図で表現して、事故現場見取り図などを作成してくれるのです。
被害者が実況見分に立ち会えない問題点
上記のような情報が書かれる以上、実況見分調書は事故の有力な証拠になります。
後遺障害の認定にも、大きく関わってくる書類です。被害者は、実況見分調書の内容を開示してもらう事ができます。
ところが事故によっては、被害者が実況見分の現場に立ち会うのは難しい事もあります。
例えば被害者が重症ですぐに救急搬送された場合、他界してしまった場合です。救急車で運ばれているにもかかわらず、現場に立ち会うのは難しいでしょう。
このように被害者が立ち会えない時に警察は、加害者の証言を元に実況見分の書類を作成することになります。
もちろんその書面には、被害者の証言は書かれません。加害者側にとって有利な書類になることが多々あります。
実況見分はやり直しは可能なのか
救急車で運ばれたので現場に立ち会えなかった場合、やり直しという発想が浮上する事もあります。
警察に、もう一度実況見分を行ってもらえないか交渉してみる選択肢も一応あるのです。
残念ながら、やり直しは極めて困難であると考えて良いでしょう。
警察は、実況見分の調査を1回限りしか実行してくれません。たとえ被害者が立ち会っていなかったとしても、例外はありません。
ただし書類に不備があると疑われる時は、話は別です。
一度は作成された書類に、何らかの致命的なミスがある時などは、やり直しになる可能性はあります。ただ、その確率は非常に低いです。
たとえ書類の内容に不満があっても、やり直しは困難と考えておく方が良いでしょう。
実況見分の供述調書の作成とその注意点
実況見分が終わった後、警察は当事者から話を聞き供述調書などを作成します。
実況見分に立ち会えなかった場合でも、後から警察は事故状況について詳しく記録します。
実況見分の供述調書の作成は可能
実況見分への立ち会いが不可能だった時は、被害者としては泣き寝入りするしかないかと言われれば、そうとも言えません。供述調書があるからです。
実況見分は、被害者からの供述も得る必要があります。被害者からも事故の状況をヒアリングして、指定の書類に記録していく事になるのです。
ただ被害者が救急車で運ばれていた時などは、もちろん供述調書の作成はできません。
その場合、被害者は後日に供述する事が可能です。自分の認識などを警察に説明して、改めて調書を作成してもらいます。
実況見分に関する警察の先入観は要注意
事故後に供述調書を作成してもらうにあたり、注意点があります。しれは警察に何らかの先入観が入っている可能性がということです。
事故直後に被害者不在で実況見分が行われた時などは、すでに警察は加害者の証言を得ていて、それに基づいたストーリーを作成している事が多いです。
その内容は、ある程度固まっています。加害者の証言に基づいた実況見分の書類が作成済みのケースも多々あります。
このため警察としては、事故状況が頭が固まっている事があります。
警察によっては、そのストーリーを被害者に押し付けてくる事さえあります。
しかし被害者としては、もちろん屈する必要はありません。あくまでも客観的な事実に基づいて、自分の主張をしっかり述べていきましょう。それで正確な供述調書を作成してもらうべきです。
実況見分の書類は何度でも訂正可能
幸いにも警察による実況見分の書類は、何回でも訂正を促すことも可能なのです。
修正作業を依頼する訳ですが、警察によっては嫌な顔をしてくる事もあります。しかし被害者自身の治療費や慰謝料などの補償にも関わってきますので、納得できる書類を作成してもらうべきです。
納得できる状態になるまで、その実況見分の書類にはサインすべきではありません。
証言をした本人が同意して、捺印やサインを行わない限りは、供述調書の書類も無効扱いになるのです。
納得できる供述調書になるまで、何回も訂正してもらって問題ありません。
実況見分に立ち会えなかった時の対処法と交通事故の専門家相談
実況見分に立ち会えず、事故後の供述でも納得がいかない場合に被害者自身が屈してしまい、自分の主張を諦めてしまう方もいらっしゃいます。
そういった場合でも、すぐに調書にはサインをしてはいけません。
実況見分に立ち会えなかった時に交通事故の専門家に相談するメリット
実況見分に立ち会えないと、様々な問題点が出てきます。
被害者が希望しない書類が出来上がってしまうのは、その後の慰謝料などの補償に関係してくることになりかねません。
被害者が死亡した時などは、供述調書を作成してもらうのも難しくなってしまいます。それでは遺族としては困るでしょう。
ではどうすれば良いかというと、弁護士に相談してみるのが一番です。弁護士相談には、下記のようなメリットがあるからです。
- 示談交渉に関して相談できる
- 示談交渉の代行を依頼できる
- 交通事故に詳しいので、対処方法を教えてもらえる
- 証拠が不利でも、被害者にとっての利益が大きくなるよう対処してくれる
特に上記の3点目の『交通事故に詳しいので、対処方法を教えてもらえる』と、4点目の『証拠が不利でも、被害者にとっての利益が大きくなるよう対処してくれる』のはメリットが大きいです。
不利な実況見分の書類が作られるのは困りますから、対処方法を教えてくれるだけでも随分助かります。
加入している保険に弁護士特約がついていれば、自己負担なく弁護士に相談できます。
交通事故の過失割合も相談できる交通事故の専門家
実況見分は、過失割合にも大きく関わってきます。
過失割合は、支払われる慰謝料に大きな影響を及ぼします。被害者の過失割合が大きくなってしまえば、慰謝料も減額されてしまいます。
加害者にとって有利な実況見分の書類になっていると、過失割合も不適切になってしまう可能性があります。
しかし交通事故の専門家は、その過失割合に関する相談も受け付けているのです。被害者にとって極力不利にならないよう、過失割合に関する交渉も行ってくれます。
ただし依頼する弁護士は、慎重に選ぶ方が良いでしょう。弁護士はそれぞれ専門分野は異なりますが、できれば交通事故に強い法律事務所を選ぶべきです。交通事故に強いなら、やはり適切なサポートを受けられる傾向があります。