玉突き事故の過失割合について
最終更新日 2024年9月11日
交通事故の車の台数は、2台限りであるとは限りません。3台以上になってしまう玉突き事故もあります。複数の車が連鎖で追突しまう事故が玉突き事故です。
玉突き事故で争点になりやすいのが過失割合です。車2台の追突事故と比べると、玉突き事故の過失割合は複雑です。基本的には一番後ろを走っていた車の過失割合が大きくなり、残り複数台の過失割合は、急ブレーキや車間距離などに左右されます。
目次
過失割合の責任が重くなる3つの状況
玉突き事故は一番後ろの車の過失割合が重い
玉突き事故の場合、巻き込まれている車は3台以上である事は確実です。その都合上、一番後ろに位置していた車に過失が発生します。
例えば先頭車両と2台目が大破していて、2台目の車の後ろ側は特に何も傷が無い状態だとします。その場合は2台目と3台目は衝突していない訳ですから、玉突きではなく追突事故です。ですので一番後ろ側にいた車は、過失割合は重くなる傾向があります。
2台目と3台目が衝突するということは、3台目のドライバーは不注意運転をしていた可能性があります。その不注意が重く見られ、過失割合も大きくなる訳です。
車間距離が十分に取れていないと過失が重くなる
ポイントになるのが車間距離です。2車間の距離が適切に離れていたかどうかで、過失割合は変わってきます。
車間距離が取れていれば、そもそも前方の車と衝突する事も無いでしょう。ですので車間距離があまり開いていない時などは、後続車の過失割合は大きくなります。
急ブレーキをかけると過失割合が重くなる
よく言われる事ですが、車は急に停止できません。オートバイとは構造が異なりますし、停車するまで若干時間がかかります。
それを考慮すると、走行中に急ブレーキをかけるのは大変危険な行為です。
ブレーキをかけた車自体は止まる事はできても、他の車は急には止まれないでしょう。他の車を巻き込んでしまうので、不要に急ブレーキをかけると「急ブレーキ禁止違反」となる場合があります。
このため一番前を走っていた車が不要に急ブレーキをかけた時などは、過失割合は大きくなってしまいます。先頭車両が急ブレーキをかけていなければ、2台目が衝突するのを防げた可能性もあるからです。
玉突き事故の過失割合のパターン
一番オーソドックスな玉突き事故と車間距離が原因の衝突
玉突き事故が起きる要因は、非常に多彩です。事故の状況に応じて、それぞれの車に対する過失割合も変わります。
例えばある車Aの走行中に、突然後方から車Bが勢い良く追突してきました。そしてAは勢いよく前方に押し出されてしまい、少し前を走行していた車Cに衝突しました。
このような例は、玉突き事故では一番オーソドックスなパターンなのです。Bが一方的に勢いよく突っ込んできた時は、Bに100%の過失割合があります。
Aの過失割合がゼロになるのは、車間距離が十分に取られていた時です。つまりAとCの車間距離が適切に取れていれば、ゼロになりやすいです。
ところがAの運転手が操作を間違ってしまい、Cとの車間距離を十分に取りませんでした。それでCに衝突したのであれば、Aにも過失が発生します。
1台目の急ブレーキの過失割合は30%
次に急ブレーキを踏んだ場合です。3台以上の時に限らず、急ブレーキを踏んでいたのであれば、原則として過失割合は30%になります。ですので、先程の例で車Cが急ブレーキを踏んでいた時には、過失割合は無条件に30%割り振られます。
残りのAとBですが、状況に応じて判断します。車間距離などを基準に、AとBの過失割合を算定します。
高速道路での玉突き事故の過失割合
高速道路の玉突き事故ですと、一般道とは過失割合は違います。
まず急ブレーキをかけた時は、急ブレーキを踏んだ先頭車両の過失割合は一律50%です。その際、後方から追突してきた車両の過失割合も50%になります。
しかし「やむを得ない事情」がある時は、過失割合は少し変わります。
例えば事故的原因で先頭車両が停車せざるを得なかった時は、過失割合がゼロになる事があります。それには条件があって、路肩に停車する必要があります。しかし、やむを得ない事情があっても、道路の真ん中に車を止めた場合は別です。その場合の過失割合はゼロではなく、20%です。追突した車両の過失割合は80%です。
また停車した先頭車両に明らかな過失がある時の過失割合は40%です。この違いは、「やむを得ない事情」があるかどうかです。
高速道路の場合は、追突された車にも過失があるとみなされます。
玉突き事故の賠償金の手続きと増額するポイント
玉突き事故の治療費や慰謝料はどうなるのか
玉突き事故になった時の手続きはどうなるかというと、2台の車の時とほぼ同じです。
加害者側の保険会社に治療費や慰謝料などを請求し、支払ってもらいます。後遺症が残った時には、慰謝料や逸失利益なども請求します。後遺症の等級を判定する場合は、診断書が必要です。ですので交通事故にある程度詳しい病院を選ぶ方が良いでしょう。
慰謝料などの金額に関わってくるのが、過失割合です。割合に応じて、慰謝料の金額が減額されます。
例えば加害者の過失割合が100%で、被害者はゼロであれば500万円の慰謝料になるとします。しかし加害者の過失割合が80%、被害者が20%の場合20%分減額されるので、支払われる金額は400万円です。その過失割合がどうなるかは、それこそ玉突きの状況次第なのです。
玉突き事故の等級を適切にするポイントとMRIなどの検査
玉突き事故における後遺障害認定を受けるポイントは、MRIという検査です。
玉突き事故の場合、むちうちになりやすい傾向があります。後遺障害が残るとしても12もしくは14級になるパターンが多いのですが、12と判定されるかどうかは検査などのデータ次第です。
医療データが足りないと、どうしても等級も低くなってしまいますが、MRIなどの検査を受けていれば適切な等級になりやすいです。
玉突き事故は弁護士に相談すべき
玉突き事故に遭遇した時は、やはり弁護士に相談するのが一番良いでしょう。
相手側の保険会社に任せてしまうと、過失割合が不適切になる可能性があるからです。その点弁護士に相談すると、過失割合は正当な数字になりやすいです。
また弁護士に任せれば、様々なサポートを受ける事ができます。交渉も代行してくれますし、相談するのがおすすめです。
玉突き事故の過失割合についておさらい
玉突き事故では3台以上の車が衝突する都合上、車2台の事故よりも過失割合は少々複雑です。やはり急ブレーキが大きなポイントです。
被害者からすると、過失割合は適正であるに越した事はありません。相手側の保険会社に任せると、不適切な過失割合になるケースも多いので、注意が必要です。それも考慮すれば、やはり交通事故に精通した弁護士に相談するのが一番無難です。