交通事故が原因の痺れ(しびれ)と損害賠償の金額
最終更新日 2024年9月11日
交通事故を起こした後には、手や足が痺れてしまう事はよくあります。痺れ(しびれ)という症状は、日常生活にも大きな影響を及ぼします。とても辛い症状ですし、損害賠償額も適正であってほしいものです。
受け取れる金額が本来よりも少なくなってしまうのは困るでしょう。そのためにも、適正な検査を受ける必要があります。病院によってやり方が異なっている事も多いですし、やはり交通事故に強い弁護士に依頼するのがおすすめです。
目次
交通事故による痺れと後遺障害の等級
交通事故で手や足の指が痺れてしまう症状
交通事故によって手や足が不自由になってしまう事は、よくあります。例えば、物を掴みづらくなってしまうケースがあります。手の感覚が分からないので、上手く物を掴めずに困ってしまう訳です。
また筆記にも支障が出てしまう事もあります。指の力加減が分からないと、ペンを持つのも一苦労です。筆記する時の力加減が分かりづらいので、上手く文字を書けなくなってしまう事もあります。
物を掴めないようでは、日常生活に大きな支障が生じてしまうでしょう。文字を書けないようでは、大変困ります。
交通事故で手や足が痺れる原因
なぜ上記のような状態になってしまうかと言うと、たいてい神経に対する損傷です。言うまでもなく、手や足の指の周辺には多くの神経があります。
交通事故で大きな圧力が加わってしまい、その神経が断裂してしまうケースはよくあるのです。神経が機能しなくなれば、力の加減も分かりづらくなってしまうでしょう。
どこの神経にダメージが生じているかというと、具体的には下記のような箇所があります。
- 脊髄
- むち打ち
- 脳の損傷
脊髄や脳などの箇所は、手や足の指から少々離れた場所にはあります。ですが脊髄や脳などは、神経系統の重要な役割を担っているのです。神経の心臓部のような箇所にダメージが生じて、手や足にも影響が及んでいるようなイメージです。
痺れに関する後遺障害の等級
ところで上述の痺れという症状は、人それぞれ深刻さの度合いは異なります。そもそも損害賠償には、下記のような等級があるのです。
- 14級7号
- 12級10号
- 4級6号
後遺障害には複数のランクがあって、1から14まであります。1級が一番深刻な状況なのですが、手や足の痺れですと12もしくは14級になるケースが多いです。上述の4級は、かなり深刻なレベルの痺れになります。
上記の14級は、指の先端部分を曲げるのが難しい程度のレベルです。真ん中部分ではなく、指先付近の屈伸が難しい状態です。
12級10号は、本来の2分の1程度しか動かせないレベルになります。
4級6号は、両手の全ての指の動作が難しく、2分の1ぐらいしか動かせないような症状です。両手の全ての指に支障が生じているので、4級はかなり深刻なレベルになります。
交通事故が原因の痺れ(しびれ)と損害賠償の金額目安
痺れ(しびれ)に対する損害賠償の金額はどれぐらいか
損害賠償の金額は、等級との相関関係があります。もちろん1級に近い方が損害賠償の金額も大きくなる訳ですが、その具体的な数字は下記の通りです。
- 14級は32万円
- 12級は93万円
- 4級は712万円
14級と12級では、3倍ぐらいの差があるでしょう。4級はかなり高めですが、交通事故でここまでのレベルになるケースは、あまり多くありません。
なお上記の3つの数字は、自賠責基準になります。弁護士に相談した時は、もっと高めな金額になる事が多いです。
交通事故の痺れによる逸失利益
ところで交通事故で手や足が痺れてしまった時は、収入に関する問題点も浮上してきます。仕事ができなくなってしまうからです。
交通事故に関する専門用語の1つに、「逸失利益」があります。事故がなければ、本来受け取る事ができていた筈の利益のことです。
例えば普段は運送業で働いているとします。年収400万円ぐらい稼いでいますが、運送業で働くためにも手足を動かす必要があります。
事故で手足が痺れてしまえば、働くのも難しくなってしまうでしょう。
交通事故によって、400万円という利益が失われている訳です。この400万円のような収入は、逸失利益と呼ばれます。
痺れ(しびれ)に対する逸失利益の金額目安
ところで交通事故の損害賠償には、複数の種類があります。
上述の32万円や93万円は、あくまでも被害者側の精神的苦痛に対する賠償額です。それに加えて、上述の逸失利益のお金も別途で支払われる訳です。
では交通事故による痺れに対する逸失利益は何円ぐらいになるかというと、おおむね下記の通りになります。
- 14級は440万円ぐらい
- 12級は1230万円
- 10級は2370万円
ただし上記は、年収600万円の人物に対する逸失利益です。年収600万円以下なら、これよりも低めな金額になります。
痺れ(しびれ)に関する損害賠償の金額を高める方法
交通事故の痺れに対する診断方法は病院によってバラバラ
ところで上記の数字を見る限り、損害賠償の金額にはかなり大きな差があります。慰謝料だけを見ても、実に数十万円ぐらいの差があります。逸失利益に至っては、数百万円ぐらいの差があるでしょう。
手足が痺れてしまった被害者からすると、この金額差は軽視できません。ですから手足が痺れた時は、等級判定は大切なのです。等級判定が不適切ですと、本来よりも少ない金額になってしまうでしょう。
どうすれば適切になるかというと、ポイントは検査です。病院による診断が適正かどうかは、軽視できません。
実際に整形外科の病院に行くと分かりますが、診察を受ける時には手や足の動作確認を行います。医師が手を握って、「このように動かしてみて下さい」と指示されるのです。その時の動きを医師が確認して、病状を診断する事になります。
ただ診断する時の手足の動かし方は、医師によって異なるのです。各病院はそれぞれやり方が異なるので、実際と異なる結果になってしまうケースがあります。
例えばAさんは交通事故でケガをして、手足が痺れてしまいました。そこで2つの病院で診断を受けたところ、下記のような結果になりました。
- 病院Bによる診察では、「そこまで深刻ではない」
- 病院Cが診察したところ、「半年ぐらいの通院が必要」
病院が違うと、異なる診断結果になる事もよくあるのです。病院によって診断方法がバラバラだからです。
なぜ損害賠償に関して交通事故に強い弁護士に相談すると良いか
被害者からすると、上記のCのような状態が望ましいでしょう。どうすれば良いかというと、弁護士に相談してみる方法があります。
交通事故に強い弁護士ですと、病院にも付き添ってくれますし、適正な検査を行うように働きかけてくれるのです。また弁護士は、書類や診断書にもきちんと目を通してくれます。
適正な書類であるかどうかを確認してくれるので、等級判定も適切な結果になりやすいです。
まとめ
交通事故で手足が痺れた時の損害賠償額は、基本的には等級に左右される訳です。
12もしくは14級と判定される事が多いですが、本人からすると12級にしたいものです。そのためにも、やはり病院で適切な検査を受ける必要があります。
検査方法が適正でないので、本来よりも軽い等級になってしまうケースも案外多いのです。ただ自力で手続きを進めるのも大変ですし、一度、気になる方は弁護士に相談してみると良いでしょう。