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    自転車事故の加害者が未成年の場合の注意点について

    2021.10.05
    自転車事故の加害者が未成年の場合の注意点について

    最終更新日 2024年9月11日

    車を運転するのは、免許証が取得できる年齢になった者だけです(違法の場合は除く)。

    一方で、自転車やキックボードなどの場合は、免許制度はないので、加害者が未成年者の子供などの可能性も当然ながらあります。

    こうしたケースで注意すべきポイントを解説します。

    未成年者の自転車事故の責任能力と監督者への賠償請求

    未成年者の加害者にも賠償金の請求は可能かどうか

    自転車は、成年者だけでなく未成年者も運転します。その未成年者が歩行者などに衝突してしまい、大怪我を負わせてしまうケースがあります。

    法的に問題となるのは、その加害者である未成年者の責任能力です。

    自転車を運転していた本人が幼児であれば、幼児自身の責任能力は認められず、親に請求するしかない(後述)ということもあるでしょう。一方で、小学生が加害者であれば、未成年者であっても責任能力を問える可能性はあります。

    中学生ぐらいの年齢であれば、一般的に「事理弁識能力」「是非弁別能力」はあると見なされます。

    責任能力がない未成年者は監督者が責任を取る

    では未成年者本人に責任能力がない時はどうなるのでしょうか。被害者は誰にも損害賠償請求できないのでしょうか。

    その場合は、監督者、つまり親に法的な損害賠償責任が帰属します。

    それは、両親は子供を保護する義務がありますし、監督しなければならないからです。そのため子供が起こした自転車事故の場合は、両親が責任を取るケースが多くあります。そのため、両親としては、子供の自転車運転をよく指導する必要があります。

    ただし全ての未成年者に両親がいる訳ではありません。何らかの事情があって、両親がいない子供もいます。その場合は必ず後見人がつく事になっていますから、賠償金は未成年後見人に対して請求することになるのです。

    なお子供が自転車事故を起こした時は、基本的には両親の過失であると見なされます。両親に落ち度がある以上は、責任も降りかかってくる訳です。

    未成年者に責任能力があっても両親に請求される理由

    法的な意味での責任能力は、12歳以上かどうかで決められます。

    しかし、監督者(親)の責任は重大で、中学生の場合は、まだ働いていません。アルバイトもしていませんし、賠償金を請求しても支払ってもらうのは難しいでしょう。

    13歳や15歳の子供は未成年者には該当します。親権者は未成年者を監督する義務がある以上、やはり賠償金は両親に請求されるパターンが多いです。

    自転車事故に関する裁判例と賠償金支払いの難しさ

    11歳の自転車事故で親権者に賠償金請求の判決が下った実例

    では実際の未成年者が起こした自転車事故の状況はどうなのかというと、全体的に親権者に損害賠償が請求されている実例が目立ちます。

    以前にバスから降りてきた乗客に対して、未成年者が運転していた自転車が衝突したことがあります。衝突された側は負傷してしまい、裁判になりました。

    その自転車事故の場合は、加害者は11歳だったのです。11歳程度では責任能力があるとは認められず、親権者の監督義務違反であると判断されました。したがって賠償金は、結局は加害者の両親に請求するべきという判決が下ったのです。

    加害者が13歳で両親に賠償金が請求された自転車事故の例

    一方で、加害者が13歳だった実例もあります。加害者がブレーキをかけずに自転車を運転していたところ、他の自転車に衝突してしまったのです。その結果、13歳の加害者には責任能力はあると認められました。

    しかしその裁判では、両親に対する損害賠償も認められたのです。13歳とはいえ、まだ両親が監督すべき年齢であると判断されたのです。監督の過失が認められて、結局は賠償金も両親に請求されました。

    このように賠償金は親権者に請求される実例が多いです。12歳を超えていると言っても、やはり両親は未成年者を監督する必要はあるでしょう。

    自転車事故は賠償金の支払いは厳しい

    では賠償金の支払いはどうなるかというと、自転車事故は自動車よりも難しいケースが多くあります。自転車は対人賠償保険など適切な損害保険の加入の義務が無く、加害者本人が負担することもあるからです。

    一方で、自動車の場合は自賠責保険への加入義務はあります。加入しなければ罰則もあるため、加入していない人はほとんどいません。

    しかし、自転車には強制加入の保険はありません。保険に入っていない者が加害者になれば、賠償金は全て加害者本人が対応しなければなりません。そのため、保険に加入していないと支払いは厳しくなる傾向があります。大怪我した時の治療費はかなり高くなりますし、賠償金も大きな金額になりますから、なかなかスムーズに支払ってもらえないケースが多いです。

    自転車事故の示談の難しさと弁護士に相談するメリット

    自転車事故の示談は話がまとまりづらい

    自転車事故は、示談がまとまりづらい傾向があります。前述のように保険に加入していないケースが多いからです。

    自動車事故の場合は、たいていの運転手は任意保険に加入していて、保険会社が示談交渉を代行してくれます。多くの交渉を経験している保険会社なら、示談交渉もまとまりやすい傾向はあります。

    しかし自転車事故ですと、加害者もしくは保護者本人が示談交渉しなければなりません。

    交通事故に関する知識が無いと、なかなか話がまとまらない事も多いです。賠償金に関する相場が分からないと、合意に達するのも難しくなってしまう傾向はあります。そのため自転車事故の示談は、ややハードルは高いです。

    自転車事故は弁護士に相談してみる

    もしも自転車事故の被害に遭ってしまい、示談が少々難しそうな時は、弁護士に相談してみる選択肢もあります。

    交通事故に詳しい弁護士ですと、多くの示談を経験しており、賠償金の相場を把握しているからです。相場が分かっている分、弁護士に依頼する方が示談交渉もスムーズになる傾向があります。

    また被害者自身で加害者と交渉するのは、かなりハードルが高いです。自転車事故の被害者は、示談交渉に慣れていないケースが多いからです。被害者自身で頑張っても、なかなか結論が出ない傾向があります。一方で弁護士は、その加害者との交渉も代行してくれます。

    弁護士は多くの示談を経験していますから、相手との交渉にも慣れています。やはり経験豊富な専門家に任せる方が、被害者としては楽です。

    また自転車事故に関する知識がある弁護士は、対処法や解決策をアドバイスしてくれます。今後の対策などを考えるにしても、まずは法律事務所に相談してみる方が良いでしょう。

    自転車事故の加害者が未成年の場合についておさらい

    加害者が未成年ですと、やはり自転車事故で賠償金を請求するハードルはかなり高いです。

    未成年者のため、賠償金の支払い能力は大きくありませんし、そもそも自転車事故には自賠責もありません。保険に加入していないだけに、賠償金を支払ってもらうのは少々難しくなる傾向があります。

    被害者自身で請求するのは難しいケースが多いので、やはり交通事故に詳しい法律事務所に相談して、お金を請求していくと良いでしょう。

    記事監修

    弁護士 渡邉貴士

    弁護士 渡邉貴士
    大阪弁護士会所属

    経歴:
    京都大学法学部卒業
    京都大学法科大学院修了

    趣味:
    プロ野球、温泉、音楽(ミスターチルドレンが好きです)

    実績:
    弁護士登録直後より交通事故案件に注力。中でもケガをした患者様の案件に特化しており、人身事故の相談件数は年間100件を超える。
    これまで整骨院や損保代理店での社内研修も多数実施して、連携をとって交通事故患者様のサポートを行う。