自転車とバイクでの交通事故の過失割合について
最終更新日 2024年9月11日
交通事故のパターンは、とても多様です。
自動車どうしのこともあれば、自動車とバイク、自動車と歩行者、自転車と歩行者など多種多様です。ある程度のパターンは網羅して過失割合の相場がありますが、バイクと自転車の事故は難しいことがよくあります。
目次
バイクと自転車の交通事故と過失割合の基本
基本は自転車よりもバイクの方が過失割合は大きい
自転車とバイクの事故であれば、一般的にはバイクの方が過失割合は大きくなります。それは、バイクは免許がなければ乗ることができない危険性が高い乗り物であるのに対し、自転車は免許は不要で子供でも乗ることができる程度の危険性しかないからです。そのため、自転車側の過失割合は軽くなりやすいです。
ただし、当然ながら例外はあります。
自転車を運転していた側にも非がある事例も、まれにあります。例えば自転車を運転していた側が信号無視をしていた、一時停止をしなかったなどの事情があれば、やはり過失割合は大きくなるでしょう。
バイクと自転車での事故の過失割合のパターン
バイクと自転車の事故は交差点で発生することがよくあります。その事故にも様々なパターンがあり、それぞれ過失割合の数字は異なるのです。
そもそも交差点と言っても、状況は多様です。以下のように、様々な交差点があるのです。
- 一方側の道路が広い
- 一方は優先道路
- 一時停止の標識がある
- 一方通行
加害者と被害者の走行する道路の広さ(幅員)が違う場合、過失割合に影響があります。たとえば、どちら側の道も同じ幅であれば、バイクの過失割合は80%になるのです。その場合は自転車は20%です。
一方で、自転車側の道が狭く、バイク側の道が広かった時には、バイクは70%で自転車は30%になるのです。逆に、自転車側の道が広い時には、バイクは90%になります。
優先道路も同様です。自転車側が優先道路の時は、バイクの過失割合は90%になりますが、バイク側が優先道路であれば60%になります。
ちなみに上記は、いずれも「信号機が無い」交差点での「出会い頭事故」の過失割合です。詳細は後述しますが、信号機がある交差点は、また違った数字になります。
このように道の状況に応じた過失割合の数字は、ある程度決まっているのです。その基本の数字に対して修正を加えて、最終的な過失割合を決めることになります。
信号機が無い出会い頭事故の過失割合の修正要素
どのような修正があるかと言うと、次のような点があります。
- 昼か夜か
- 運転者の年齢
- 過失の度合い
1点目ですが、夜の場合は自転車の過失割合は5%加算されるのです。しかし自転車の運転手が児童や高齢者の場合は、5%減算されます。またバイクの運転手に重過失があれば、自転車側は30%程度減算されますし、それほど重くない過失なら10%台の減算になるケースが多いです。
様々な交通事故のパターンと過失割合
交差点事故の様々なパターンとその過失割合
交差点事故はパターンが様々です。信号機や事故の状況にしても、以下のように多様なパターンがあるのです。
信号機なし | 出会い頭事故 |
信号機なし | 直進車と右折車の事故 |
信号機あり | 出会い頭事故 |
信号機あり | 直進車と右折車の事故 |
出会い頭でないかどうかにより、過失割合の数字も変わってきます。例えば信号機無しで直進車と右折車が事故を起こした時に、自転車が直進していてバイクが右折していれば、バイクの過失割合は90%になるのです。しかし自転車が右折していた時は、バイクは30%になります。そして上述の年齢や過失の重さなどを考慮し、数字を修正するのです。
また信号機がある交差点の場合、信号の色がポイントになります。具体的には下記の通りです。
自転車は青信号で、バイクは赤 | バイクの過失割合は100% |
自転車は赤で、バイクは青 | バイクは20% |
両方とも赤 | バイクは70% |
自転車は黄色で、バイクは赤 | バイクは90% |
他にも様々な状況がありますが、それぞれ過失割合の数字は異なります。赤信号を無視していれば、もちろん過失割合は重くなるのです。
過失の重さや年齢などを考慮して過失割合を決める
上記の他にも、事故には様々な状況があります。両者が運転した方向は同一の事もあれば、逆方向もあるでしょう。状況に応じて、それぞれ過失割合の数字も異なるのです。
ただ、どの状況でも言える事は、やはり過失がある方の%の数字は大きくなります。赤信号を無視していれば、もちろん過失割合は重たくなるのです。運転手が高齢者の場合は、過失割合は軽くなる傾向があります。様々な要素を考慮した上で、過失割合の数字を決めていく訳です。
過失割合の妥当性と弁護士への相談
保険会社が提示してくる過失割合が妥当でない可能性も
バイクと自転車の事故の過失割合で注意すべきなのは、保険会社が提示してくる数字は必ずしも妥当であるとは限らない点です。被害者にとって不利な数字になっているケースも、しばしばあります。
やや極端な例ですが、自転車を運転していた時にバイクと衝突し、自転車の運転手側はきちんと信号の色も守っており特に過失はなかったとします。にもかかわらず保険会社としては、加害者側にとって有利な過失割合の数字を提示してくるケースもまれにあるのです。保険会社の売上などの問題があり、やや不利な数字になっているケースも実際あります。
もちろん過失割合の数字が不利になってしまえば、慰謝料も減額されてしまうのです。20%も減額されると、慰謝料は20%安くなってしまうでしょう。
過失割合に関して弁護士に相談
それ以前に、交通事故にあまり詳しくない方にとっては、過失割合は分かりづらく感じられる事があります。上記のように様々なパターンがあるので、具体的な数字が不明確な事もあるでしょう。
もしも過失割合が疑問な時は、やはり弁護士に相談してみるのが無難です。弁護士は、交通事故に関する様々な情報を集めてくれるからです。弁護士によっては、事故現場に訪問して詳しく確認してくれる事もあります。
その結果、過失割合が正確な数字に修正されるケースもあるのです。困った時は、ひとまず相談してみると良いでしょう。
まとめ
自転車とバイクの事故は、基本的には自転車の方が過失割合は低くなります。自転車の被害者は、深刻な状況になりやすいからです。その過失割合のパターンは非常に多様です。
基本的には信号無視や過失の重さなどを考慮して、過失割合が決定されます。ただパターンが多いだけに、過失割合の数字が妥当かどうか分かりづらい事も多いです。
また、一番よくあるパターンになりますが、①相手が車で②被害者がバイクや自転車に乗っていた場合においては転倒していたか?それとも転倒していないのか?というところがお怪我の補償においても大切なポイントになってきます。
転倒しそうだったけど何とか踏ん張って転倒は回避したが、後から痛みが出てきたという場合におきまして、医師の診断と治療の必要性が認めてもらえなければ治療費を保険会社が否認するケースも出てきているようです。
だからといって自賠責保険に直接請求をしても、こちらでも否認されるケースも御座いますので十分に注意が必要になってきます。病院や整骨院での治療を受ける際におきましても、このあたりを注意しなければ治療費も慰謝料も出ないことも十分にあり得ます。
判断に迷った時や、数字の妥当性を確認したい時などは、やはり交通事故に精通した弁護士に相談すると良いでしょう。