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    交通事故で頭を強打時のびまん性軸索損傷とは

    2021.11.04
    交通事故で頭を強打時のびまん性軸索損傷とは

    最終更新日 2024年9月11日

    交通事故で体に大きな衝撃が加わると、びまん性軸索損傷という診断結果になる事があります。

    脳に対する症状の1つです。びまん性軸索損傷は非常に厄介な症状で、突然に他界してしまう事さえあります。脳が強く揺さぶられた時に起きる症状ですが、状況がかなり深刻な時には、支払われる慰謝料もかなり手厚くなる事もあります。

    ただし補償額も等級次第ですから、やはり弁護士に相談しながら手続きを進める方が良いでしょう。

    びまん性軸索損傷という症状の特徴とその治療の現状

    脳の広範囲がダメージを受けているびまん性軸索損傷という症状

    そもそも脳の中は、非常に複雑な構造になっています。

    多数の神経があるのですが、その神経細胞から繊維も複数伸びていますが、交通事故の衝撃によって広範囲にダメージを受けてしまう事があるのです。それで神経の軸切断されたり、脳が損傷を受けたことにより、意識不明になってしまうケースもあります。

    ちなみにびまん性軸索損傷という症状は、ヘルメットをかぶっていても発症することがあります。たとえヘルメットを着用していても、脳が強く揺さぶられる事はあるでしょう。

    びまん性軸索損傷という症状の特徴と治療の難しさ

    このびまん性軸索損傷には、次のような症状があります。

    • 意識混濁
    • 脳の浮腫
    • 呼吸困難
    • 高次脳機能障害

    脳がダメージを受けているので、半ば意識不明の状態になる事もあれば、脳に腫れ物ができて植物人間に近い状態になってしまう事もあるのです。重症化すると、それこそ他界してしまうケースもあります。

    しかもびまん性軸索損傷は、たとえ治療しても回復しないことがあるのです。かなり治療が難しい症状ですし、交通事故の後に昏睡状態が24時間続いて、後遺症が残ってしまうケースも多々あります。現時点では、特に効果的な治療方法はありません。

    びまん性軸索損傷は、検査でも発見されづらい特徴があります。たいてい脳にはMRIの検査が行われますが、それで辛うじてびまん性軸索損傷が発見されることはあっても、レントゲン画像で発見するのは困難です。

    しかし適切な治療を受けていれば、回復するケースもあります。実際過去には、びまん性軸索損傷になってしまった交通事故がありました。

    ある高校生がその状態になってしまったのですが、しばらく治療を受け続けた結果、日常生活が可能な程度まで回復した実例はあります。やはり諦めずに治療を受け続けるべきでしょう。

    びまん性軸索損傷の等級とその認定の基準

    びまん性軸索損傷の認定等級

    びまん性軸索損傷になった時には、後遺障害の慰謝料が請求されることはあります。

    意識不明な状態になってしまうぐらいですから、およそ働くのも困難になるケースも多いです。被害者としては大変困りますから、加害者に治療費が請求されるケースは多々あります。

    その慰謝料は、等級に大きく左右されるのです。そもそも後遺症も個人差があって、症状がかなり重たいケースもあれば、そこまで深刻でない事例もあります。その症状の深刻さによって、等級分けされているのです。全部で14段階の等級になっていて、後遺障害1級が一番重たいですが、後遺障害14級は一番軽い等級になります。

    もちろんびまん性軸索損傷という症状も、様々な等級はあるのです。この症状の場合、後遺障害3級、後遺障害5級、後遺障害7級、後遺障害9級、後遺障害12級、後遺障害14級のいずれかの等級で認定されます。もちろん後遺障害3級が一番重たいのです。

    びまん性軸索損傷に関する4点の確認事項と喪失のレベル

    その症状の重さを判定するために、以下の4つの点が確認されます。

    • 相手とのコミュニションの能力
    • 理解力や判断力は問題ないか
    • ある一定以上の時間は働き続けられるか
    • 行動が適切であるかどうか

    以上の4つの観点から行動を確認し、どの程度深刻なのかを見極める訳です。

    その程度に応じた喪失のレベルがあります。

    びまん性軸索損傷の喪失レベル
    • 全喪失
    • 大部分が喪失
    • 半分ほど喪失
    • 相当に喪失
    • 多少は喪失
    • わずかに喪失

    びまん性軸索損傷の認定等級と喪失の程度

    びまん性軸索損傷で後遺障害14級と判定されると、上記の4つの内の1つは「わずかな喪失」になっています。たとえ画像や検査などで発見されなくても、後遺障害であると認定される事もあります。

    後遺障害12級になるのは、4つの内の1つは多少損失している程度です。後遺障害9級は、4つの内の1つは相当程度喪失している状態になります。後遺障害7級は、4つの内の1つは半分ぐらい喪失しているか、2つ以上が相当喪失している状態です。

    このように喪失の程度に応じて等級が決まりますが、後遺障害3級ともなると非常に深刻です。4つの内の1つが全喪失なのです。相手とのコミュニションなどが不可能なレベルですから、かなり重たい状況である事は間違いありません。

    びまん性軸索損傷で後遺障害3級と認定された実例

    びまん性軸索損傷で2,000万円支払われた高校生の実例

    ところで上記でも触れた高校生は結局どうなったかというと、最終的には2,000万円近い慰謝料が支払われています。本人に対しては後遺障害分慰謝料が2,000万円近く支払われ、両親にはそれぞれ100万円支払われているのです。認定された等級は、後遺障害3級でした。

    確かに事故の後には日常生活は可能になりましたが、かなり深刻な後遺症も残ってしまったのです。重大な記憶障害が残った上に、判断力や記憶力も著しく低くなってしまいました。しかも怒りっぽくなった上に、考え方も幼稚になってしまったのです。

    そのような精神的な障害が残っただけでなく、労働の問題点も生じてきました。肉体労働は難しくなりましたし、細かい事務の仕事もおよそ不可能になってしまったのです。その状況を考慮し、最終的には後遺障害3級と認めました。

    びまん性軸索損傷で高額な慰謝料(2000万円)になった理由

    上記の事例ですが、もしも保険会社に一括で任せていた時は、2,000万円にならなかった可能性があります。

    任意保険基準が適用されますから、慰謝料も低い金額になってしまう事が多いからです。しかし上記の高校生の方は、弁護士を通じて裁判を行っています。裁判所基準が適用されたことにより、2,000万円と認定されたのでしょう。

    上記のような症状を自力で実証しつつ、保険会社と示談交渉を進めるハードルは、非常に高いです。その点弁護士に依頼すれば、相手との交渉も代行してくれます。

    また弁護士に相談しなかった時は、そもそも後遺障害3級と認められていない可能性もあるのです。というのも保険会社は、たまに被害者にとって不利な条件を提示してきます。後遺障害3級どころか、もっと低い等級で認定された可能性もあるのです。

    弁護士は、色々な医療データや情報などを活用して、相手に証拠を提示してくれます。最終的には適切な等級で認定されやすくなるのです。ですから後遺障害の手続きを進めていく時は、やはり弁護士に相談するのがおすすめです。

    まとめ

    半ば認知症に近い状態になってしまうケースもあるので、びまん性軸索損傷はとても深刻な症状です。ただ、その症状で支払われる慰謝料は、やはり認定される後遺障害等級に左右されます。低い後遺障害等級で認定されてしまえば、あまり慰謝料は支払われません。

    被害者としては、それでは困るでしょう。びまん性軸索損傷と診断された時は、基本的には弁護士に相談する方が無難です。加害者との交渉も代行してくれますし、検討してみると良いでしょう。