整骨院での施術は医師の許可が必要
最終更新日 2024年9月11日
交通事故で負傷した時は、通常は整形外科の病院で診察を受ける事になります。しかし交通事故に対応しているのは、何も病院や整形外科だけではありません。整骨院もあるのです。
整骨院で治療費を請求不可能ではありません。
基本的には整形外科と併用するのが望ましく、医師の整骨院での通院許可も取っておくべきです。診断書も書いてもらう必要がありますし、症状固定までは病院に行くべきです。
目次
整骨院の治療費請求に必要な医師の許可や4つの立証
整骨院による交通費の治療費を請求するハードル
整骨院で施術を受けるのは、色々ハードルがあります。その1つは治療費請求です。
交通事故の後に病院で治療を受けるなら、加害者側の保険会社には治療費も請求していく事になります。治療費だけでなく、通院した時の交通費も請求できるのです。
接骨院でも保険会社は、病院と同様に治療費は支払ってくれるのです。ただし条件があります。病院での診断書が出ている個所に限り併用して治療が認められる。さらに整形外科のお医者さんが整骨院での通院許可ももらえればなおさら良い傾向にあります。逆に
医師が整骨院での併用治療の許可を得ていないと少々難しい
治療の必要性の権限は、医師が指示しているかどうかによるものであること
相手側の保険会社としては、医師の指示を尊重する傾向があります。要するに、整骨院よりも医師の指示を優先している訳です。
ですから医師が「整骨院で治療を受けるべき」などと指示しているのであれば、その整骨院にて施術を受けた時には、治療費を請求する事はできます。ですが医師の許可を取らずに独断で整骨院に行っている時などは、やはり難しいでしょう。
交通事故の被害者側が立証する4つの点
では医師が指示していない時はどうすれば良いか理由と、被害者本人が正当性を立証する必要があります。
具体的には、下記のような点を保険会社に立証する必要があるのです。
- 必要性
- 合理性
- 有効性
- 相当性
1つ目の必要性ですが、期待できるかどうかという問題があります。病院の代わり、もしくは併用して体調が良くなる事は期待できるのか、保険会社に立証する必要があります。それは3つ目の有効性とは異なります。施術に効果があるかどうかも立証する必要があるのです。
2つ目の合理性ですが、施術を行う箇所が妥当かどうかという問題があります。むちうちという症状であれば、首周りなど関係ある箇所に対する施術を受けている必要があります。無関係な箇所ではありません。
そして4つ目の相当性は、主に費用や期間です。通院期間が過剰に長くない事を証明する必要があり、費用の妥当性も証明しなければなりません。しかし、整形外科の診断書やドクターの整骨院通院許可が極力あって通院する方が好ましい傾向にあります。
整骨院と病院を併用すべき2つの理由
整骨院単独ではなく病院と併用するのが良い
どうしても整骨院で施術を受けたいなら、病院(整形外科)との併用が推奨されます。整骨院だけ施術を受けるのでは、治療費や慰謝料が支払われづらいからです。
慰謝料というのは、後遺症が残ってしまった時に支払うお金です。病状が深刻な時は、長引く後遺症が残ってしまうケースもあるでしょう。その精神的苦痛の対価として、加害者側にお金を請求する事になるのですが、接骨院はそのハードルが少し高いのです。
そこでおすすめなのは、整骨院に行く「前」に整形外科に行くことです。「後」ではあります。まずは整形外科に通った上で、治療は受ける必要があります。そこで治療を受けつつ、医師に話を切り出してみると良いでしょう。
併用する方が良い理由と診断書
併用すべき理由は2つあります。1つ目は診断書です。
そもそも後遺障害に関する慰謝料を支払ってもらう為には、認定される必要があります。それも適切な等級で認定されるべきなのです。
後遺症には様々な等級があります。全部で14段階の等級があって、1に近いほど重たい症状になるのです。1級ぐらいになると、手足を切断するレベルです。
それで被害者の病状は、7級ぐらいが妥当であるとします。しかし7級と判定される為には、医学データが必要です。レントゲン画像も必要ですし、何よりも医師の診断書が重要です。必要な内容が十分に盛り込まれている診断書が無いと、7級どころか8級や9級などと判定されてしまいかねません。
そして交通事故に関する診断書を作成できるのは、医師だけなのです。決して整骨院の柔道整復師ではありません。適切な等級を受ける為にも、病院と整骨院は併用すべきです。
交通事故で症状固定になるまで併用する
では、いつ頃まで整骨院と病院を併用すべきかというと、症状固定と呼ばれるタイミングです。
交通事故の症状から回復する為に治療を受け続けると、だんだん体調も良くなってきます。いずれは、治療も不要な状態になるのです。
かすり傷をイメージすると分かりやすいです。膝にできたかすり傷は、自然治癒していくでしょう。傷が完全に塞がったにもかかわらず治療を受けるのは、意味はありません。その治療不要な状態を、症状固定と表現するのです。
上述の診断書にしても、症状固定された後に作成してもらう事になるのです。ですから固定されるまでは、両者を併用すべきです。
病院による整骨院の許可と弁護士のメリット
病院が整骨院を積極的に許可する実例は少ない
整骨院で施術を受ける時のポイントは、もう1つあります。医師の許可です。
上記でも少々触れた通り、保険会社としては病院の権限を優先している一面があります。という事は、医師の許可があれば治療費も支払われやすくなるのです。少なくとも被害者1人の判断で整骨院に行く事だけは、控えるべきです。整骨院に対する治療費が、全額自己負担になるリスクが大きいからです。
それで1つ注意を要するのは、病院が積極的に許可を出してくるケースはあまり多くありません。というのも病院としては、整骨院をあまり良く思っていない先生も中にはいます。ですから「行くべきではありません」とストレートに拒否される事もあれば、「構いませんが、効果があるとは思えませんよ」などと間接的に断ってくるケースもあります。逆に『自己責任で…』と渋々ぼかしてくるお医者さんもいます。このケースは万が一痛くなってもお医者さんも責任を負いませんよというニュアンスもあるのではないでしょうか?また逆にリハビリのない病院等におきましては許可を出してくれたりしますし、鍼灸や東洋医学に寛容なドクターは許可を普通に出してくれたりもします。整骨院から病院を紹介してくれるケースもありますので先に整骨院に電話して紹介先の病院があるかないかを聞いてみるのも良い方法化もしれません
許可はしていなくても、積極反対でないケースも多々あるのです。
- ご希望されるなら、良いですよ
- 反対はしませんが
実は「許可」は少々強い表現で、医師が積極的に許可を下すという意味ではありません。上記のように積極反対していないような表現であれば、同意はある程度取れた事にもなります。
この辺りの微妙な言い回しは、なかなか判断が難しい事もあるでしょう。一番おすすめなのは、弁護士相談です。交通事故や整骨院に詳しい弁護士に相談しておいて、アドバイスを受けると良いでしょう。そして医師から許可を取りやすい状態にしておけば、最終的には治療費も支払われやすくなります。
まとめ
ですから結論としては、整骨院の治療費や慰謝料は支払われます。
気をつけるべきなのは、決して独断で整骨院に行くべきではありません。まずは病院に通い診断書をもらい、併用での整骨院の施術の許可を取るのが一番無難にです。
診断書を書けるのは、病院の医師だけです。しかし病院と話すのも色々ハードルがありますし、まず交通事故に精通した弁護士に相談するのがおすすめです。