交通事故の弁護士費用や裁判費用を負担してもらう方法
最終更新日 2024年9月11日
交通事故の被害者は、ご自身で加害者加入の保険会社と示談交渉を行うこともありますが、精神的負担も大きく、また手間も非常にかかります。
そこで弁護士へ交渉を依頼することをご検討される方も多いですが、弁護士費用特約にご加入がない場合、その弁護士費用は被害者が負担しなければなりません。
今回は、その弁護士費用の負担に関してまとめてみましたので、ご参考にお読みください。
目次
交通事故の裁判に関する費用と被害者の負担
弁護士費用と裁判費用の相場
交通事故案件を弁護士に依頼した場合、いったいどの程度の弁護士費用が必要なのでしょうか。
被害者自身の自動車保険などで弁護士費用特約に加入している場合、その保険契約での上限金額(一般的には300万円)までは弁護士費用の自己負担は0となります。
一方で、弁護士費用特約がない場合は、弁護士費用は自己負担となります。
現在、弁護士費用は各弁護士が自由に設定できるようになっているため、依頼する際の弁護士費用は、その弁護士のウェブサイトなどを確認することとなりますが、交通事故の場合は一般的には以下の費用が相場といえます。
- 着手金 0~10万円 ※0円:完全成功報酬制
- 報酬金 10万円+経済的利益の15%~20%
弁護士費用特約がない場合でも、交通事故案件の場合は着手金を0とし、完全成功報酬制を採用している弁護士も珍しくありません。
つまり、着手金はなく、示談などで解決した際に、その賠償金の何%かを弁護士報酬として支払う(示談金から差し引く)という処理です。
もっとも、弁護士委任により慰謝料の増額が見込まれる場合は、その増額幅が弁護士費用を上回る場合もあるので、そのときは弁護士に依頼した方が受取額も増えることになり、メリットしかありません。
一方、裁判費用、つまり示談では解決できず裁判を行う場合の費用としては次のようなものがあります。
印紙代 | 数千円~数万円程度 |
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郵便切手代 | 数千円 |
目撃者に対する日当 | 約4,000円 |
印紙代は相手に請求する金額に比例し、請求額が500万円の時は3万円で、1,000万円の時は5万円です。
弁護士費用は依頼した被害者本人が支払うのが原則
ところで被害者からすると、自分が費用の一部を負担するのは納得できない事もあります。
しかし、交通事故以外の事件で弁護士に依頼した場合に弁護士費用が必要なように、弁護士に依頼するとその依頼者が費用負担をしなければならないのが原則です。
交通事故事件においては、被害に遭った方が負担しなければならないのが不合理だ、負担無しで弁護士に依頼したいニーズがあるため、弁護士費用特約が販売開始されました。
訴訟では弁護士費用は加害者負担となる事も
しかし実際には、被害者が弁護士費用全額を負担しないケースもあります。
法的には、交通事故案件を含め不法行為を理由とする損害賠償請求においては、賠償額の原則10%を弁護士費用として加害者へ請求することができます。
例えば、1,600万円を獲得した場合は、160万円は加害者が負担させられます。
もっとも、示談交渉においては、その弁護士費用は支払われないことがほとんどです。示談とは、互いの譲歩が必要なため、被害者側が弁護士費用を譲歩するのです。
弁護士費用や裁判費用を無料にできる特約
裁判費用が負担される弁護士特約
繰り返しになりますが、訴訟になれば弁護士費用を加害者負担とできるケースがあります。
一方で、裁判費用はいかがでしょうか。
完全勝訴であれば、加害者負担となることが一般的です。しかし、被害者にも過失がある場合(過失割合が0:100でない場合)は、裁判費用の一部が被害者負担となることがあります。
ここでも弁護士費用特約が使えます。つまり、弁護士費用特約では、弁護士費用のほか、交通事故案件の解決に必要な実費も保険会社が負担してくれるのです。
たとえば、裁判費用としては次のような費用が実費で支払われることが多いです。
- 印紙代
- 郵便切手代
- 日当
調停やADRに関する費用も、弁護士特約の対象になるのです。
弁護士費用の方が高く付きそうな時の特約のメリット
弁護士特約は、特に費用倒れになりそうな案件には有効です。物損だけの案件など、請求額が安い案件などです。
しかし弁護士特約があれば、上述の200万円という費用も支払われるのです。ですから金額が低めになりそうな時も、自分が加入している保険の特約を確認してみると良いでしょう。
まとめ
いずれにせよ交通事故の弁護士費用や裁判費用などは、加害者が全額負担してくれる訳ではありません。
弁護士費用特約があれば解決することがほとんどですが、ない場合には弁護士との関わり方が重要です。
そして費用が気になる時は、弁護士にまず相談してみましょう。相談料は無料で受けてくれる弁護士も多いため、正直に費用のご相談をすれば解決することが多いです。
まずは悩まず早めに弁護士へ相談しましょう。