交通事故が原因の顎関節症は後遺障害何等級か?
最終更新日 2024年9月11日
交通事故の症状は色々あるのですが、中には顎に関する障害もあります。口を開けた時に痛みが走ってしまったり、おかしな音が出てきてしまう事もあるのが顎関節症です。この関節症は、等級の幅広さに特徴があります。
認定される等級が幅広いのですが、ある意味非常に珍しい症状とも言えます。適正な等級で認定される為には、他覚的所見がポイントになります。適切な検査を受けて、交通事故に強い弁護士にも相談するのが望ましいです。
目次
顎関節症の特徴とその多彩な等級
顎関節症の主な症状
顎関節症には、以下のような症状が見られます。
- 顎が痛い
- 口を開く事ができない
- 顎を動かす時におかしな音がする
以上の3つの症状などがあるのですが、少なくとも1つの症状がある時には、顎関節症であると見なされるのです。複数の症状が重なっているケースもあります。
この状態になると、食事するのも不自由になってしまう事も多いです。口を開いた時などに痛みが生じるので、十分に口を開ける事ができず、満足に物を噛めなくなってしまう事もあります。
また歯科矯正の治療が必要になる事も多いです。噛み合わせが悪化してしまうので、夜に歯ぎしりするようになり、歯の矯正治療を行わざるを得ない事もあります。
もちろん顎関節症には個人差があります。物を噛むこと自体は可能なケースもあれば、咀嚼や言語機能が廃されてしまう事もあるのです。
顎関節症は後遺障害の等級が多彩
なぜこのような状態になってしまうかというと、もちろん顎に対する衝撃です。顎に強い衝撃が加わってしまえば、関節部分に炎症が生じてしまう事もあるでしょう。
また打ち所が悪ければ、神経系に対して深刻なダメージが残ってしまう事もあります。顎には多くの神経がありますが、交通事故によって神経障害が引き起こされてしまう事もあるのです。
それで顎関節症の場合、認定される等級が非常に幅広いです。後遺障害には14段階の等級があって、1級が一番重たくなります。顎関節症ですと、1級と判定されるケースも凄く稀にあるのです。咀嚼や言語機能が完全に喪失したような状態は、1級と認定される事はあります。
その逆に、症状はあまり深刻でないケースもあります。例えば顎に対する神経症状です。神経に対して損傷は残っているものの、あまり頑固でないレベルであれば、14級と判定される事もあります。しかし少々頑固な神経症状ですと、12級などと認定される事もあるのです。
その症状は多岐に渡り、1級から14級まで非常に幅広いです。14段階にも渡るような症状は、とても珍しいです。顎関節症の特徴の1つと言えます。
顎関節症の慰謝料はぐらいなのか
顎関節症の後遺障害の慰謝料はどれぐらいか
深刻な症状が残ってしまった時は、被害者としては慰謝料も請求する事になるでしょう。入通院と後遺障害の慰謝料と、逸失利益などを請求する事になります。その金額も非常に多彩です。以下の数字は、いずれも顎関節症に関する後遺症の慰謝料になります。ちなみに自賠責基準です。
顎関節症の慰謝料の金額 | |
---|---|
1級 | 1,100万円 |
3級 | 829万円 |
9級 | 245万円 |
14級 | 32万円 |
以上のように、等級によってかなりの差が生じるのです。実に30倍近い差が生じているので、等級認定がいかに大切かが分かるでしょう。このため顎関節症という症状は、認定される等級が適切かどうかがポイントになります。
ちなみに上述の数字は、いずれも自賠責基準です。弁護士基準ですと、その差額はさらに大きくなります。弁護士基準で14級なら110万円ですし、1級なら2,800万円だからです。
顎関節症は逸失利益は幾らぐらいになるか
また顎関節症は、仕事にも大きな支障をきたす可能性が大いにあります。物を話す事にも関わってくるので、働くのが難しくなる可能性はあるでしょう。
仕事して収入を得る為には、やはり顎は使う必要があります。ビジネスで相手と話す機会は多々あるでしょう。
しかし口の言語機能が失われてしまえば、働けなくなってしまいます。つまり交通事故がなければ、本来は収入を得られる筈なのです。ですから被害者としては、逸失利益という形で加害者に慰謝料を請求する事になります。
逸失利益に大きく関わってくるのは、労働能力喪失率です。喪失率の数字も、以下のように非常に多彩です。
- 100%
- 67%
- 27%
- 5%
等級が重たくなれば、喪失率も大きくあります。
上述の100%は3級以上の喪失率ですが、67%は6級であり、5%は14級といった具合です。喪失率が大きいほど、支払われる慰謝料も高くなります。
人によっては、顎関節症で2,800万円近く支払われている実例もあるのです。その金額には個人差があります。
交通事故による顎関節症は病院や弁護士事務所に相談
顎関節症になった時はまず病院へ行く
顎関節症の場合、他覚的所見がポイントになります。その関節症を患っている本人には、自覚症状があるケースは多いです。しかし自覚症状だけでは、データ不足になってしまいます。適切な等級で認定されづらくなってしまうのです。
そこで、医学的な証拠が求められます。病院に行けば、レントゲンなどを撮影されるでしょう。画像を見てみれば、骨や神経などに損傷があるかを確認する事もできます。経験豊富な医師であれば、たとえ画像を見なくても症状を見出せる事もあります。
となると、顎関節症になった時は病院に行くべきです。自覚症状だけでは根拠薄弱になってしまうので、医療データで証明してもらうようなイメージになります。
顎関節症は交通事故に強い弁護士に相談すべき
後遺障害には認定の基準が複数あるのです。自賠責だけではありません。
自賠責基準は一番軽いレベルになり、補償内容も最低限になります。それに対して弁護士基準であれば、かなり補償内容は手厚くなるのです。
なぜ手厚くなるかというと、様々なデータなどで実証できるからです。弁護士に相談してみると、様々な手段で症状の深刻さを実証してくれます。例えば上述の他覚的所見などのデータを集めて、所定機構に症状の深刻さを主張してくれるのです。医学データだけでなく、過去の実例なども引き合いに出してくれます。
やはり等級認定が適正になるかどうかも、証拠次第です。多くのデータが揃っていると、上の等級になりやすいのです。しかし被害者は、もちろん顎関節症に詳しいとは限りません。医学にあまり詳しくないと、証拠不足になってしまう事もあるでしょう。それでは不適切な等級で認定される可能性があるので、やはり弁護士に相談すべきです。
また加害者側の保険会社とのやり取りも、弁護士は代行してくれるのです。被害者1人で保険会社とやり取りするのは大変ですが、それを代行してくれるメリットは大きいです。
交通事故が原因の顎関節症の慰謝料についておさらい
顎関節症の一番の特徴は、とにかく等級が幅広いことです。1から14までの等級認定があり得る症状は、とても珍しいです。
症状の程度次第ですが、やはり言語や咀嚼機能が失われるような状態は、とても深刻です。適切な等級判定は欠かせないでしょう。
基本的には、交通事故に精通している弁護士に相談するのが一番無難です。被害者1人では、医師の診断書の内容が適切か判断するのも難しいですし、交通事故に強い弁護士に相談してみるのがおすすめです。